2025.04.10
作り込まれたコンテンツが際立つ 統合デジタルアーカイブ ~大分市デジタルアーカイブ ~おおいたの記憶~
提供機関 | 大分市教育委員会文化財課
URL | https://oitacity-archive.jp/
構築方式 | オリジナルサイト・Web API
利用者への配慮が行き届いたインターフェイス
大分市歴史資料館、大分市美術館、大分市民図書館の3館が所蔵する資料や指定文化財などを収録するデジタルアーカイブ。I.B.MUSEUM SaaSに蓄積した資料データをWeb API経由で公開するサイトで、すぐに見たい情報にアクセスできるシンプルで分かりやすいインターフェイスが特徴です。
トップページでは、大分市の古い地図や写真などが時代順で入れ替わり、その時代に関連する資料が浮かんでは消えるオープニングムービーから始まります。これだけでも最後まで見入ってしまいますが、このサイトで何が見られるのかがイメージできますので、映像から思い浮かんだ言葉をすぐ下のテキストボックスに入力する人も多いかも知れませんね。
さて、そのままスクロールすると、さまざまな検索方法のボタンが連なっています。一番上の「目的から探す」は、地図・時代・指定・ジャンルと4つの入り口に分かれています。中に入るとポイント中の地域が見やすい強調色で表示される市域のマップ、写真で分かりやすい12種類の大きなボタン…といった具合に、使いやすくジャンル分けされたインターフェイスがとにかく快適。これなら、デジタルアーカイブに不慣れな人も迷わずどんどん進めるはずです。
工夫満載、充実のスペシャルコンテンツ
「所属館で探す」は各館のコンパクトな解説付きで、「デジタル企画展」はリアルの展覧会などを告知するコーナー。「おすすめ資料」には特に見てほしい資料データが紹介されていますが、なかには動画があるものも。こちらはI.B.MUSEUM SaaSの機能のひとつで、YouTube動画との連携機能が使われていますね。
そして気になるのが、一番下の「スペシャルコンテンツ」です。現時点では8つのコンテンツが公開されていますが、いずれも短時間で見られるコンパクトなサイズながら内容が濃く、読み応えバッチリ。ということで、ここでは2つを紹介します。
「大分市の今昔」は、古い写真や絵葉書で往時の風景を楽しむことができます。地域の昔の写真は人気が高く、他の自治体でも定番のコンテンツとなっていますが、ここではもうひと工夫。昔の写真と同じ位置、同じアングルで撮影した現代の風景と比較できるように表示されているのです。昔とあまり変化がない場所もあれば、駅舎などが建て替えられて大きく印象が変わった場所も。これは家族や友人と一緒に見ると盛り上がりそうな内容です。古い写真の撮影場所が特定できれば、同アングルで新たに撮って並べるだけで楽しさがグッと増しますので、オススメの手法と言えます。
もうひとつ、「御城下絵図の世界」は、江戸時代中期の府内城下の様子を描いた絵巻物「御城下絵図」の高精細画像です。細部まで拡大してじっくり鑑賞できる高精細画像は、まさにデジタルアーカイブのハイライトのひとつですので、多くの自治体や博物館のサイトで公開されていますね。その一方、御城下絵図のような大作の場合、ひとつの作品の中に見どころがたくさんありますが、拡大して鑑賞すべき場所をあらかじめ知らなければ、鑑賞ポイントを素通りしてしまうことになります。
そこで、このスペシャルコンテンツ「御城下絵図の世界」では、見どころとなる場所に解説が表示される工夫が施されています。さらに自動再生ボタンも用意されており、ちょうど解説を読み終わるくらいのタイミングで次の見どころに画面が動いていくという演出も。「拡大できるから自分で見てね」という姿勢ではなく、あたかもガイドの案内付きで鑑賞しているような気分にひたれるのです。
そのほか、「3Dミュージアム」や「磨崖仏を訪ねる」では、焼き物や大砲、磨崖仏(岩肌に彫られた仏像)の3Dモデルをぐりぐりと回しながら見たい場所を超ズームで楽しむことができるなど、訪ねてくれた利用者を飽きさせない充実のコンテンツ群が際立つデジタルアーカイブ。今後はワークショップや出前講座などで活用の幅を広げていくとのことなので、さらなる発展が楽しみです。