ミュージアムIT ケーススタディ

ミュージアムレポート


提供機関 | 大阪市博物館機構
URL  | https://dom.ocm.osaka/
構築方式 | オリジナルサイト・Web API


大阪市立6館のデジタルアーカイブ

大阪市には、大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪市立科学館、大阪歴史博物館、大阪中之島美術館という個性豊かな分野の異なる6つの市立ミュージアムがあります。6館の収蔵品の総数は、実に200万点以上。そのうち約25万点もの資料データが、各館の収蔵品をまとめて公開するWebサイト「デジタル大阪ミュージアムズ」内で公開されています。

これらの資料データは、同サイトで運営されている統合データベース「大阪コレクションズ・アーカイブ」から横断検索することができます。25万点というスケールの大きさにも驚きますが、非常に幅広い資料ジャンルをバランスよく見せるサイト構成も特筆もの。「大阪らしさ」を発見する見どころたっぷりのコンテンツが展開されています。

活気あふれる大阪のパワーの源を、5つの「力」で表現

 

 

デジタル大阪ミュージアムズは、2025年の大阪・関西万博に合わせて6館が実施するイベント「大阪博」のサイトと連携。大阪博で公開予定の6館の選定による「大阪の宝」を紹介しています。

この特設ページでは、「大阪の宝は、大阪のアイデンティティ」という力強い宣言のもと、「大阪の宝」から見えてくる都市としての魅力を「大阪の力」と表現。これを市民の力・都市の力・未来への力・芸術の力・風土の力の5つの力に分類して、それぞれ解説が添えられています。「宝」と「力」という言葉が多用されていますが、活気あふれる街として長く栄えてきた大阪らしさがよく伝わってきますね。

「大阪の宝」は各館が選定した20点×6館の合計120点の資料とその関連資料で構成されており、上記の5つのストーリーのもとに公開されています。また、同サイトでは3Dや高精細画像、VRコンテンツを楽しむこともでき、いずれも閲覧者を飽きさせない出来栄えです。

Web APIの活用で、円滑なデータ公開を実現

統合データベースの大阪コレクションズ・アーカイブでは、約25万点にのぼる公開資料を検索できます。

参加の6館のうち、大阪市立美術館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪中之島美術館の3館は従来より作品データベースとしてI.B.MUSEUM SaaSを利用中。また、大阪市立科学館では展示ガイドアプリ「ポケット学芸員」のコンテンツをI.B.MUSEUM SaaSで管理していました。上記の美術館3館は、自館のI.B.MUSEUM SaaSに登録されたデータをWeb APIを経由してデジタル大阪ミュージアムズに公開しています。したがって、新たに公開用のデータ作成する手間がなく、最小労力での公開を実現しています。デジタル大阪ミュージアムズは大阪市博物館機構が運営していますが、各館に大きな負担を強いることなくコンテンツを充実していく仕組みは、それだけでデータの提供側とサイトの運営側の両方に大きなメリットをもたらします。

デジタルアーカイブを検索できる大阪コレクションズ・アーカイブでは、すでにこの時点で25万点に迫る点数を誇る規模になっていますが、まだまだ増えそうな勢い。大阪らしい、活気あふれるデジタルミュージアムです。