ミュージアムIT ケーススタディ

ミュージアムレポート


提供機関 | 入間市博物館
URL  | https://www.alit.city.iruma.saitama.jp/040/010/020/
構築方式 | ホームページ・リンク


館ホームページをうまく使った「ボタンの海」

 

入間市博物館のホームページから収蔵資料検索を開くと、ズラリと並ぶボタンの数に圧倒されます。資料データベースの9つの分類に加えて、実に40を超える検索テーマを配置。デジタルアーカイブは数あれど、ここまでの細やかなエスコートはかなり珍しいのでは。

壮観なボタン群のうち、薄いベージュの色がかかっている部分にご注目を。狭山茶を筆頭に日本の茶と世界の茶、さらには急須・茶碗、茶の生産・加工・流通と「お茶」にまつわるキーワードが並んでいます。お茶に関するものだけでもこれだけのテーマを抽出できるのは、さすがにお茶どころの博物館といったところ。ここだけでも館のカラーが伝わってきます。

続く濃いベージュのボタンは、さらに多彩なテーマに彩られています。「武蔵武士」「黒須銀行」「八王子千人同心」など、思わず知的好奇心を刺激されてボタンをクリックしそうなワードが並びます。

それにしても、テーマのボタンがこれだけ並ぶと圧巻ですね。ミュージアムが扱う資料の幅広さをひと目でアピールできるので、ここだけで期待感が高まります。

では、資料テーマをボタンで一望できるこのページがなかったら、どう見えるのでしょうか。データベースのトップは、実際にこうなっています。

あのテーマ群はプルダウンメニューで選ぶことができますが、これでも全体の半分ほどしか見えておらず、スクロールが必要に。しかし、これだけの量のテーマをプルダウンから探して選ぶという動線は、一般の閲覧者にとっては少し厳しそうです。ただ、登録番号も検索対象項目となっていることから、他館の学芸員や研究者にとっては逆に使いやすい画面と言えるかも知れません。

このボタンが並ぶ「一望」のページは、館のホームページ内に設置されているため、専用ページを構築する場合に比べればコスト的にもかなり抑えられています。しかも、テーマのボタンは職員の方が簡単に追加・変更できる仕様になっているそうで、データが充実するほど新たな魅力として提示できることになるわけです。

膨大な資料の数々、その物量面の豊かさも博物館の魅力。閲覧者にとってはサプライズにもなる視覚的な設計で、なおかつ利用者が使いやすいデータベースのトップページ。ちょっとした工夫で実現できるこの「全体像を見せる手法」も、費用をかけずに大きな効果をもたらす好アイデアと言えるでしょう。