ミュージアムリサーチャー

ミュージアムレポート

今回は、去る2月28日、千代田放送会館で開催された「地域文化資産コンテンツ」フォーラムの会場にお邪魔しました。Waseda Reportの原稿のためとあれば比較的自由な「取材」が許されているのはご承知の通りですが、今回はさらに特別。 何といっても、このイベントには当社も協賛させていただいているのですから。

というわけで、社長も部長も納得の、今回のフォーラム参加。この種のイベントとしては大入りの推定150名近くもの参加者でにぎわう会場に、カメラを持っての潜入取材です。2回目となる本フォーラム、今回のテーマは「地域からの文化資産コンテンツ発信」です。文化資産アーカイブ化に積極的な石川県の事例紹介を中心に、イベントは進行しました。

まずは予備知識のおさらいを
各種挨拶の後は、立命館大学客員教授・札幌市立大学準備室の武邑光裕さんの基調講演。伝統的文化のアーカイブ化にまつわるエピソード等をはじめ、コンテンツ振興政策・施策の解説、各地の取り組み等がわかりやすく語られました。予備知識はこれでOKです。

話題のサイトのプレビューも!

続いては、本日のメインイベントのひとつ、「地域文化資産ポータル」のプレゼンテーション。地域文化デジタル化推進協議会の西田義行さんの丁寧な説明のもと、話題のサイトが公開されました。

ポータルサイト「地域文化資産」とは、北海道から沖縄まで、各地の伝統芸術等をインターネット上で案内する試みです。主に映像コンテンツを中心に五つの分野に分かれており、配信される映像は百本にも達するとか。地域間交流や国際交流、教育や観光での活用も期待されています。

地域文化資産デジタルコンテンツ発信事業の中核となるポータルサイトだけあって、参加者も熱心に聞き入っている様子。かく言う私も、パンフレットなどを通して個人的に興味を持っていたので、スクリーンに大きく映し出されたサイトデザインに見入ってしまいました(上の写真です)。 なお、開設はきたる4月1日。当日は、アクセスをお忘れなく。

石川県の先行事例を実例で

次に、石川県が取り組んでいるデジタルコンテンツ事業の実例紹介。「石川新情報書府」という県内文化情報満載のポータルサイトの内容が検証されました。このサイトはすでに立ち上がっていますが、皆さん、もうご覧になりましたか?九谷焼や輪島塗、金沢箔等など、「これぞニッポンの美」という芸術的な伝統工芸技術が、これまた和の風合いタップリのデザインで紹介されていて、とても気持ちがいいんですよね。会場では、石川県立美術館館長の島崎丞さんが、サイトを詳しく説明してくださいました。改めて驚いたのは、サイト内にギッシリと密度感で配置されたコンテンツの充実度。私も社に戻ってから再度確認してみたのですが、あの有名な「利家とまつ」から和菓子、食の歳時記、そして金沢城の再現と、まさに加賀百万石の空気を堪能できる仮想博物館です。

そしてディスカッションへ

休憩をはさんで、後半はパネルディスカッション。武邑さんを中心に、6名のパネリストが特色ある地域文化の全国発信について、じっくりと議論を展開。フォーラムのサブテーマである「江戸からみる加賀文化の魅力」が、たっぷりと語られました。
というわけで、とても勉強になった1日でした。加賀伝統の石川県とデジタルコンテンツという先進ツールは、ミスマッチどころかジャストフィットといった印象。やっぱり、「美と技術」の相性は抜群なんだよねえ・・・ と再確認しながら帰途についたのでした。

 

< 第2回 地域文化資産コンテンツフォーラム >
地域からの文化資産コンテンツ発信
日時:平成18年2月28日
場所:千代田放送会館
主催:地域文化デジタル化推進協議会 http://www.digital-museum.gr.jp
後援:総務省 石川県 財団法人地域創造
石川新情報書府  http://shofu.pref.ishikawa.jp/