- vol.167取材年月:2020年10月敦賀市立博物館
利用者の皆さんからご好評の声をいただいています。
データ公開ページの見え方に工夫した甲斐がありました。館長補佐 高早 恵美 さん
主査(学芸員) 加藤 敦子 さん
-I.B.MUSEUM SaaSをご導入いただいてからデータを公開されるまで、とても早かったですね。しかも、背景色の工夫など公開設定機能を使いこなしておられます。社内でも少し話題になったんですよ。
高早さん:ありがとうございます、担当者が頑張ってくれまして。もうすぐ戻ってきますので、少しお待ちくださいね。
-では、お待ちする間に、ご導入前のご様子からお聞かせください。
高早さん:以前は、地元の大学にご協力いただいたシステムを使っていたんです。さほど大掛かりなデータベースではなく試験的な導入でしたが、絵画作品の情報などはすでに公開できていました。
-総合博物館ですが、絵画のコレクションが充実していますよね。
高早さん:そうなんです。ただ、データの追加が少し大変でしたし、新しいOSに合わせてアップデートも必要だし、スマートフォンでキレイに表示できるようにしたいし…という状況でした。
-なるほど。環境変化の中で、いくつか課題が見えてきたわけですね。
高早さん:どうしたものかと悩んでいた頃に、御社がいろいろ資料を送ってくださったんです。スタッフの方にもお越しいただいて、話が進み始めました。
-資料送付のタイミングがバッチリだったわけですね(笑)。
高早さん:本当に(笑)。クラウドなら費用もそんなに高くないですから、切り替えてみようかという方向になりました。
-課題が明確だっただけに、ご導入前からスムーズだったのですね。現在の運用についてはいかがですか? 順調だとよいのですが。
高早さん:5,000点ほどのデータを登録して利用を始めましたが、まだシステムに入っていないものもありますので、随時追加しています。たとえば、寄贈資料などは受け入れ時の担当者がデータベースに登録するようにしていますが、まだ少し時間がかかりますかね。
-何か、使いにくい点はありますか?
高早さん:使いにくいというほどではないのですが、たとえば通し番号が自動で発番できる機能があるとありがたいですね。
-実は他館からもお聞きしました。複数のユーザ様のご要望ですので、検討を急ぎますね。
高早さん:あ、戻ってきました。公開の設定を担当してくれたのは彼女なんですよ。
-(ご挨拶しながら)お邪魔しております。ぜひ詳しい話をお聞きかせください。
-日本画を中心とした公開ページを拝見しましたが、素晴らしい出来ですね。作品の傾向に合わせて背景色が落ち着いた色合いに工夫されていますし、「作者一覧から探す」に並ぶ画家の名前を見るとワクワクします。
加藤さん:ありがとうございます。当初は敦賀にゆかりのある作家を収集していたのですが、古くから港が栄えた交通の要所で京都とのつながりも深い街ですので、自然と京都の美術も収集対象になりました。円山応挙の作品などが充実しているのは、このためですね。
高早さん:今年、府中市美術館様で当館の絵画コレクション展が開催されました。当館の美術品や歴史資料の貸出は、2~3か月に一度くらいの頻度で依頼が舞い込みます。
-貸出では事務作業が発生しますが、システムの当該機能をご利用いただいていますか?
加藤さん:内部の業務でシステムを活用するのは、まだこれからの段階なんです。当館は歴史民俗資料館として開館したミュージアムですので、美術以外にも大量の資料を所蔵していまして。たとえば、去年は考古資料を登録して主な出土品をデータベース化できたのですが、いまは入力など一連のデータ整備作業で手いっぱいの状態ですね。
-なるほど。貸出の業務を効率化したり、出品歴を丁寧に管理したりできますので、ぜひご活用いただくことをおすすめします。特に、日本画では出品歴が重要になると聞きますし。
加藤さん:出品歴は確かに重要ですが、システム上で管理できるのですか?
-はい、可能です。よろしければ、落ち着かれたところで操作説明にうかがいますね。
-さて、公開機能についてはいかがですか?
加藤さん:公開ページのピックアップ機能が楽しいですね。検索しなくてもどんな作品があるかがひと目でわかりますし。
高早さん:おかげさまで、ご利用の方々にもご好評をいただいているんですよ。
-それは嬉しいですよね。先ほども申しましたが、見やすくなるように設定を工夫しておられる点が大きいのではないかと思います。こちらの反響はいかがですか?
加藤さん:画像の利用についての問い合わせが増えました。せっかく皆様にご覧いただけるデータベースを導入できたということで、何とか見やすくしたいと思いまして。いろいろチャレンジしてみた甲斐があります。
-どんな画像が人気なのですか?
加藤さん:古い写真、あとは絵はがきですかね。以前、明治期の港の古い写真を中心とした古写真展を開催したことがあるのですが、地元の方々にとても好評でした。
-港の風景は、時代ごとの変化が手に取るように分かって、とても面白いですよね。マスメディアからの写真提供依頼もあるのでは?
加藤さん:はい、割りとよくご連絡をいただきますね。
-I.B.MUSEUM SaaSのダウンロードボタンをONに設定しておられる館の学芸員によれば、マスコミからの提供依頼は極端に減ったそうです。対応の業務が軽くなったそうですよ。
加藤さん:それは、利用者の方が自由にダウンロードできるということですか? 当館では、申請用の書類を出していただいているのですが。
-はい、仰る通りです。写真の提供依頼を断ることはまずないので特に問題ないというご判断ではないでしょうか。
高早さん:なるほど、それは確かに言えますね。
加藤さん:どの写真がどのくらいダウンロードされたかが分かったりすると、ニーズも把握できますよね。
-それは面白いですね。展示の企画にも参考になるのでは?
高早さん:あ〜、それは便利そうです。
-さっそく検討してみますね。ところで、こちらは建物がとても素敵ですね。
加藤さん:敦賀の発展を支えた実業家の大和田荘七が作った大和田銀行の本店だった建物なんですよ。地元の薬屋に生まれて、北前船の船主だった大和田家に養子として入った人物で。
高早さん:建物は昭和2年の建築なんですよ。
-ということは、この場所は敦賀の発展の象徴なのですね。
加藤さん:そうなんです。ゆくゆくはこの建物の情報もデータベースに登録して公開したいと思っています。
-それは地元の方もお喜びになるでしょう。先ほど見学させていただきましたが、「ポケット学芸員」が向いているかもしれませんね。事例集をお持ちしたので、ぜひ参考になさってください。
高早さん:ありがとうございます。
加藤さん:ポケット学芸員、ぜひ利用してみたいと思っていたんです(笑)。さっそく拝読しますね。
-ぜひご一読ください。本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。
- Museum Profile
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敦賀市立博物館
昭和2年に建築された旧大和田銀行本店を利用した博物館。建物は、北陸初のエレベーターやレストラン、迎賓館なども備えていた名建築で、平成29年には国の重要文化財に指定されました。大理石のカウンターの中の常設展示スペースでは、当時の空気を感じながら貴重な資料を楽しむことができます。敦賀の豊かな歴史文化を物語る資料に加えて、日本画のコレクションは圧巻。港・敦賀のシンボルとして地元に愛されるランドマークです。
ホームページ :
https://www.city.tsuruga.lg.jp/about_city/news_from_facility/gaibu_shisetsu/hakubutsukan/museum.html
〒914-0062 敦賀市相生町7番8号
電話:0770-25-7033