- vol.147取材年月:2019年5月岡山県立美術館
クリップリスト機能の応用が、こんなに便利とは。
まだまだ気付いていない活用法がありそうです。学芸員 石田 すみれ さん
-I.B.MUSEUM SaaS のご導入から1年ちょっとということで、そろそろ気になることも出てくる頃かと思います。まずは、前のシステムからI.B.MUSEUM SaaSに変更された理由からお聞かせいただけますでしょうか。
石田さん:導入からすでに年数が経っていたので刷新が必要になっていたのですが、かなりのお金がかかりそうだということが分かりまして。
-弊社にお問い合わせをいただいたんですよね。
石田さん:はい。当時の担当者がほかの方法をいろいろと検討する中で、御社の製品に行き当たったようです。ヒアリングした他館の方からも御社のお名前が出たりしたこともあって、こちらからお問い合わせを入れさせていただいた…と聞いています。
-その後プロポーザルを経てご導入となったわけですが、以前のシステムはカスタマイズされたものですよね。I.B.MUSEUM SaaSはクラウドシステムなので機能面の個別カスタマイズはありませんが、それによるご不便などはありませんでしたか?
石田さん:その点は体験版でも確認していましたし、大丈夫でしたよ。逆に、一括登録の操作などは前のシステムの使いこなしが難しくて1件ずつ登録していたので、むしろラクになった面もあるくらいです。
-美術作品の場合、1件あたりの情報量が多くて大変ですよね。よくできたシステムでも、時間が経つと人の入れ替わりやOSの変化などで継続が難しくなることもありますもんね…。
石田さん:そうなんです、きちんと作られたシステムだったんですけどね。でも、70~80件ほどの登録に丸一日かかることもあって、さすがに改善しないと…と。ですので、クラウドシステムでも「便利になったな」という印象が強かったり(笑)。
-ありがとうございます(笑)。あと、個人的に心配していたのは、作品データの公開ページなんです。かなり丁寧に作りこまれていましたので、機能面でダウンしたりしなかったかな…と。
石田さん:いえ、どちらかと言えば、それも良くなったと思っています。
-本当に?(笑)
石田さん:はい(笑)。前のものも細かく検索できてよかったのですが、ちょっと複雑でもあったので、今の方が検索しやすいように思います。
-確かに、シンプルになりましたよね。
石田さん:フリーワードや作家名から検索できますから不便もないですし。それに、ページのトップに表示する「おすすめ」の作品は自由に変更できるのが、意外に便利で。あの機能を使って、現在展示中の作品をアップしているんですよ。
-あの機能に着目いただけたのは、個人的にとても嬉しいんですよ。しっかり活用してくださっていて、安心しました。あと、ほかに心配事などはありませんか? データ移行の状況などはいかがでしょうか。
石田さん:あ、そうそう。最近気が付いたことがあるのですが。
-ご遠慮なく仰ってください(メモを開いて)。
石田さん:所蔵者に関するデータなんですが、いくつかの項目に分かれるべきところ、ひとつの項目にまとまってしまっている部分があるようで。
-本当ですか! それは申し訳ございません、すぐにお調べしてお返事します(メモ)。
石田さん:それから、展示や貸出に関して、予約や出庫処理をすると重複利用をチェックしますよね。すでに展示が終わって戻ってきているはずなのに「重複している」というメッセージが出ることがあるようなのですが、理由が分からなくて。
-返却処理はされていますか?
石田さん:返却処理、ですか?
-はい。日付が返却予定日を過ぎていても、ステイタスを「返却」にしなければ、利用中のままとなって重複チェックに引っかかるようになっているんです。
石田さん:なるほど…。もしかしたら、そのせいかも。すみません。
-とんでもない、機能がちょっと複雑ですから最初は迷って当然です。逆に、弊社がサポートしなければならないくらいで。
石田さん:これからは、疑問が出たらご質問しますね。
-ぜひ、ご遠慮なくお問い合わせください。でも、この機能をお使いになるのはご多忙な場面が多いでしょうから、弊社にお電話いただく状況ではないかもしれませんね。ほかのユーザーの皆さまにも告知したほうがよいかも…ご指摘をありがとうございます(メモ)。
-それにしても、ご導入から1年ほどなのに、随分しっかりと使いこなしていただいていますよね。
石田さん:いえいえ。まだ知らないことばかりで…。でも、ひとつだけ、ほかの職員にも伝えなければと思っていることがありまして。クリップリスト機能の使い方なんですけど。
-ぜひお教えください。
石田さん:たとえば、いま、当館ではコレクションの中から「四季」をテーマにした作品を選んで展示しています。システム上ではまず作品を検索して、一覧表示させますよね。ここでの表示は、項目を個人ごとに変えられるじゃないですか。
-仰る通りですね。
石田さん:それを例えば、制作年とか作品のサイズとか「展示を検討するのに必要な項目」に変更するんです。表示させたら、文字画像一覧表示に切り替えてページ印刷でプリントアウトすると、作品画像つきで、自分が欲しい情報が入ったリストを打ち出すことができました。展示を検討するのに便利に使えますね。その前に、検討結果に従って、検索結果一覧画面のチェックボックスで必要な作品を抽出してクリップリストに保存しておけば、何度もそのリストを使えますし。
-同じリストを簡単に取り出せるのがクリップリストのメリットのひとつなんですが、しっかり使いこなしていらっしゃいますね。
石田さん:あと、クリップリストの機能って、リスト同士を合体させたり、すでに作ったリストに作品を追加したりできますよね。ですので、作品の詳細画面を見ながらリストに加えたりしています。それに、先ほどの「おすすめ」にアップする作品を選ぶ時も、まずクリップリストで作ってからExcelに出力して、一括更新しているんですよ。
-驚きました。本当にすごいですね。まだご利用を始められて日が浅いのに、すっかり上級者の使いこなしですよ、これ…。
石田さん:いえ、ページ印刷は使っているうちにたまたま気付いたんですけどね。便利なので、次の館内の会議で、ほかの職員にも使い方を説明しようと思っているんですよ。
-いや、本当に素晴らしいです。
-すごい勢いで上達なさっていますが、最近新しく搭載された帳票作成機能はもうお試しいただけましたか?
石田さん:それが、使ってみたいなとは思っていたのですが、まだ試せていなくて。
-作品カードやコンディションレポートなどを自由に作ることができるんですよ。紙の作品カードを使っておられる場合、カード側で修正するとデータベースの内容と差異が発生しますが、データベースからカードを出力すれば同期した状態を保てますから、便利ですよ。
石田さん:そうですね、ぜひ使ってみようと思います。まだ新しい活用法がありそうですので、ぜひいろいろと教えてくださいね。
-それはもう、さっそく説明会の開催を検討しますね。今日は、弊社の課題がまたひとつ明確になり、とても勉強させていただいた気分です。お忙しい中、本当にありがとうございました。
- Museum Profile
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岡山県立美術館
多数のミュージアムが隣接する岡山カルチャーゾーンの中心的存在の美術館。「郷土に親しみ 美を慈しむ」というテーマのもと、すぐれた美術品を収集・展示するとともに、県内外での芸術活動を紹介する展覧会やワークショップも活発に開催されています。建物は、桜御影と呼ばれる淡紅色の万成石が豊富に使われていて、品格と居心地の良さが見事に調和。「県民とともに創る美術館」として多くの来館者で賑わう人気アートスポットです。
ホームページ : https://okayama-kenbi.info/
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