- vol.26取材年月:2006年10月香川県文化会館
重要なのは、SEさんとのコミュニケーション。
綿密な打ち合わせこそ、将来の安定稼働を生むのだと思います。事業課長兼主任専門学芸員 真鍋 昌宏さん
-最近、弊社と長くお付き合いいただいている館へのインタビューが続いているのですが、真鍋さんもそのお一人です。
真鍋さん:そうですね。早稲田さんとのお付き合いは、もう10年くらいになりますかね。当時、私は県の歴史博物館準備室に在籍していまして。別の館で行われたI.B.MUSEUMのデモの現場を、一緒に見せていただいたのが最初でした。
-そうだったんですか。「別の館」が気になりますね。導入いただけたのかな?(笑)
真鍋さん:そりゃ、もう。その「別の館」って、当館のことですから(笑)。
-そうだったんですか!(笑) でも、歴史博物館準備室さんのほうが先でしたよね、I.B.MUSEUMの導入は。
真鍋さん:ええ。その時すでに、いくつかの会社から提案を受けていたんです。早稲田さんは、当時から導入実績を伸ばしておられましたよね。他の会社さんも悪くなかったのですが、やはり実績が多いシステムは安心感がありますし。
-館の皆さんにとって、実績は重要なんですね。
真鍋さん:ええ、重要だと思いますよ。歴史博物館準備室に導入したのは平成9年のことなんですが、最終的には資料数を30万点と計算していました。それぞれ「写真を3点ずつ登録する」という、当時としては大きな構想を描いていたので、やはり慎重になりましたね。でも、決め手は別の部分だったんですけどね。
真鍋さん:「管理システムは、導入後に必ず改善する時が来る」という考えがありまして。ですから、柔軟に対応してくださる業者さんに、と。
-その当時から「柔軟なシステム」の重要性にお気付きだったんですね…。
真鍋さん:今となっては当然のことなんですけどね。それに、失礼ながら、早稲田さんは大きな会社じゃないですからね。気軽に頼めそうだな、と(笑)。いや、冗談ですけど。
-なるほど、ははは…(汗)。ところで、ここまでは歴史博物館さんへのインタビューになってしまいます(笑)。そろそろ、文化会館さんのお話に…。
真鍋さん:でも、実は当館の前に挟んでいるんですよ、もう1館(笑)。
-え? 2箇所じゃなくて3箇所でお使いいただいているんですか! すみません、年表を書いていただけます?(笑)
-えーっと、歴史博物館準備室さんに導入いただいたのが、平成…。
真鍋さん:正確に思い出さなければなりませんね。えーと、まず平成9年に歴史博物館準備室に導入しました。その後、平成13年、私は県の埋蔵文化財センターに異動になりまして。そこでも収蔵庫の整理が課題になっていたんです。
-埋蔵文化財センターさんには、バーコード管理システムをご利用いただいているはずですね…。
真鍋さん:ええ、その通りですね。で、平成16年に今の文化会館に異動しまして。歴史博物館のI.B.MUSEUMと、埋蔵文化財センターのバーコード管理システムの合体版を作ることにした、というわけなんです。
-3度の異動で、3度とも当社に…。ご縁があるものですね。
真鍋さん:あ、でも、だからと言って「点数」は高くなるとは限りませんよ(笑)。
-このコーナー、ご覧いただいているんですね…(笑)。では、さっそく。
真鍋さん:正直に言いますと、結果にはまだ満足し切れていない部分があるんです。その一方で、SEさんがとても頑張ってくださる姿も、ずっと見てきました。よって、70〜80点としておきましょうか。
-ご配慮、ありがとうございます。ただ、改善すべき点があるのは、別の話ですね。詳しく教えていただけますか?
真鍋さん:実は、私たち自身の責任でもあるんですけどね。大量のデータを一括登録する作業をお願いしたのですが、データの一部で不備が生じていまして。こちらで用意していたデータの形式が、I.B.MUSEUMの形式と微妙に違っていたのかも知れません。
-それは弊社の問題ですね。すぐやり直さないと。
真鍋さん:何度か修正していただいて、かなり改善はされていますよ。あと少しなんですけどね。あとは、今、私たちは「バーコード貼り付け作業」を進めているところなんですが、何しろ膨大で。これが終われば、あとはデータ入力に集中できるんですけど。
-う、大変そうですね…。今が頑張りどころですね。
-さて、バーコードを貼り終えて、データを完全に整備されたとして。その時、I.B.MUSEUMはバッチリ活躍できそうですか?
真鍋さん:もちろん、大丈夫だと思いますよ。欲を言えば、画面がもう少しシンプルになるといいですね。こちらの要望で項目が膨大になったんですが、いざ入力となると、不要な項目が出てきましてね。
-ほう。では、ブランクになっている欄が…。
真鍋さん:そうなんです。気分が乗りませんよね、ブランクの欄が続いているのを眺めるのは(笑)。あまり使わない項目は「呼び出した時だけ小窓で表示」というような感じにならないですかね?
-それ、いいですね。技術的に可能かどうか、社に帰って議論してみます。
真鍋さん:あとは、インターネットへの対応も頑張らないと…。
-Web上でのデータ公開のことですね。
真鍋さん:ええ。文化施設は、所蔵作品をできるだけ広く公開すべきだと思います。図録は印刷費がかかりますが、ネットなら収集の度にデータを追加していけますし。
-館内で展示されていない所蔵作品もありますしね。
真鍋さん:情報発信だけじゃなくて、双方向のコミュニケーションも期待できますからね。企画展を検討する時の参考にもなりますし。
-弊社も、もっとお役に立てるように頑張ります。最後に、長いご経験も踏まえつつ、これからシステムを検討される館へのアドバイスをお願いします。
真鍋さん:重要なのは、綿密な打ち合わせだと思います。私たちは館運営のプロ、SEさんたちはコンピュータのプロ。使う言語が違いますから、認識にズレが生じることもあります。例えば、「絵コンテ」のようなものを互いに頻繁に交換するとか、具体的な意思疎通が将来を左右すると思いますよ。
-それは、弊社も考えなければならない課題です。大変参考になりました。今後ともご指導のほど、宜しくお願いします。
<取材年月:2006年10月>
- Museum Profile
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香川県文化会館
展示室・芸能ホール・茶室などの施設を有し、香川県立美術館としての機能も担うことを目的として、昭和41年4月に開館しました。現在は、県立の美術館として美術品の収集や各種の展覧会に加えて、芸術講演会開催などの諸活動も行なわれています。館の建物は1997年、日本建築家協会から「日本建築家協会25年賞」を授与されています。この賞は、落成後25年以上たった建物を対象に、完成当時と変わらず維持されているすばらしい近代建築物を次の世代に伝えようと日本建築家協会が創設したもので、外観は風格たっぷり。一方で、地域住民が芸術活動で気軽に出入りできる敷居の低さも魅力のひとつ。歴史を誇りながら新しい可能性を感じさせる魅力的な文化施設です。
ホームページ : http://www.pref.kagawa.jp/kmuseum/
平成20年4月1日に香川県文化会館と香川県歴史博物館が統合し、
香川県立ミュージアムとなりました。
◆香川県立ミュージアム◆
〒760-0030 香川県高松市玉藻町5-5
TEL:087-822-0002