ミュージアムインタビュー

vol.128取材年月:2017年7月仙台文学館

研究に役立つ機能がたくさんあるので、 これからしっかりと使いこなしていきます。事務長兼学芸室長 赤間 亜生 さん

-こちらは、長く他社製のシステムをご利用だったそうですね。

赤間さん:当館は1999年3月に開館したのですが、その時に図書館向けのパッケージをカスタマイズしていただいたんです。当時、展示会のイベントか何かで御社のシステムに触れる機会があって、「使い勝手がよさそうだな」という印象は持っていたんですけどね。

-ありがとうございます。でも、館の性質から「図書館システムをベースに」とお考えになったんですよね。

赤間さん:ええ、図書館システムをカスタマイズするか、完全にオーダーメイドの二択で考えて、リスクやコストの面から前者に落ち着きました。

-I.B.MUSEUM SaaS に移行されたのは昨年度のことですから、当初のシステムをとても長くお使いだったんですね。

赤間さん:そうなりますね。5年に1回くらいのペースで更新はしていたのですが、この20年近くの間に、一般の皆様の利用頻度まで含めてインターネット環境は大きく変わりましたから、そろそろ新しくしないと…という話になりまして。

-前の副館長様が、弊社にお声掛けくださったんですよね。

赤間さん:そうです、前副館長はITにも詳しかったので。システム選定は予定価格が高額となることから入札で行うことがルールですので、従来のシステムでできていたことを引き継ぎつつ、新しい要望を満たすような仕様を作りました。

-弊社のシステム、仕様は満たしていたと思いますが、細かな機能の部分で不十分だったのでは? 図書館システムからの移行となると、やはり勝手も違いますし。

赤間さん:確かに、すべてが要望通りというわけにはいきませんでした。でも、当館で重視しているところは守っていただけそうという印象でしたよ。

-具体的にはどんな部分でしょうか。

赤間さん:たとえば、Excelデータの扱いですね。いろいろな場面でリストを作成することが多いのですが、Excelに出せば好きなようにレイアウトできますからね。

-となると、移行後は一括登録機能もご利用ですか?

赤間さん:ええ、もちろん。Excel上でデータを編集して一括更新することも多いですね。以前は1件ずつ修正していましたから、かなり楽になりましたよ。

-当時のシステムではやむを得ないとは言え、大変な作業をなさっていたんですね。

赤間さん:何とか頑張ってやっていました(笑)。あとは、インターネットからの資料検索が使いやすくなりました。今回の変更で最も変わったのは、この部分かもしれません。ありがたいことに、お問い合わせが格段に増えましたし(笑)。

-それは嬉しいですね。地道に整えてきたものが多くの人に届いている証拠ですものね。

-I.B.MUSEUM SaaS に移行して良かった点もありがたいのですが、ご不満な点もぜひお聞かせください。

赤間さん:そうですね…。目立つところでは、自動ログアウトの時間が短縮されたことに、ちょっと困りましたね。

-具体的にお聞かせください。

赤間さん:セキュリティの強化のためでしょうか、一定時間操作しないとログアウトしますが、少し前に時間が短縮されましたよね。システム上で作業をしている間に電話や来客の対応をしたりして、ちょっと席を外すという機会も多いものですから。サポートの方にご相談したら、戻していただけましたけど。

-その節は失礼しました。仰る通り、セキュリティ機能の強化の一環として実施したのですが、実はほかのユーザ館からも似たご指摘がありまして、時間を長めにし直したんです。

赤間さん:それに近い話ですが、一括登録をする際は、メンテナンスモードに切り替えなければなりませんよね。ほかのユーザの作業も一時的に止まるので、あれはちょっと不便かな。

-こちらは、データの安全を最優先するための機能なのですが、確かにご不便かもしれませんね。ちょっと対策を検討してみます。(メモ)

赤間さん:もう少しよろしいですか?

-ええ、何なりと。

赤間さん:保存した検索条件を呼び出して検索できる機能はとても便利なんですが、一度検索してもう少し検索条件を加えたい時に「さらに検索」という機能がありますよね。この画面でも検索条件を呼び出せると、もっと便利になると思うのですが。

-なるほど。使い勝手が上がるかもしれませんね。(メモ)

赤間さん:ついでに、出力の際のお話も(笑)。仕事の都合上、一覧からそのままプリントアウトできるのはとても便利なのですが、ひとつ不便な点があって。

-ご遠慮なく(笑)。

赤間さん:当館の場合、ひとつの資料にたくさんの人物が登録されていることが多いんです。一覧画面では、その人物がすべて表示されるので、登録人物が多い資料の場合、行がとてつもなく幅広になってしまうんです。

-あ~、それを出力する時に…。

赤間さん:その状態でプリントアウトすることになって…。

-それは確かにご不便ですね。申し訳ございません。(メモ)

赤間さん:Excelで出力すれば自由に編集できるのですが、「ちょっと出力を」という時には、画面そのままの方が便利ですよね。

-仰る通りです。検討しますね。

-I.B.MUSEUM SaaS は機能改善にかなり力を入れているのですが、こうしてしっかり使いこなしてくださっている方にお聞きすると、まだまだ改善できることを痛感します。

赤間さん:使いこなしは、これからだと思いますよ。レファレンスや研究を支えるツールとして、使える機能がたくさんありますし。

-もっとお役に立てるよう、さらなる改善に努めます。

赤間さん:でも、御社には、かなり細かく対応していただいているんですよ。たとえば、ラベルシールの出力などは、この様式が変わったら館の業務に大きな影響が出るところでした。

-ありがとうございます。ところで、先ほどインターネットの検索ページのお話が出ましたが、こちらはホームページもとても見やすいですよね。デザインや色使いもさることながら、細かな気配りが感じられます。

赤間さん:ありがとうございます。最近、リニューアルしたんですよ。

-データベースを業務で活用されて、インターネットで検索も提供され、ホームページも申し分なし。あとは、スマートフォンのアプリなどはいかがでしょう。

赤間さん:「ポケット学芸員」ですよね、存じあげています(笑)。

-恐縮です(笑)。

赤間さん:展示の性質上、写真撮影はご遠慮いただいていまして。監視員もいませんので、展示室内でスマートフォンをご利用になると、周囲に誤解を生んだりしないかな…と心配で。ただ、来館者のニーズは高まっていると思いますので、対策は考えないといけないなとは思っていますよ。

-「ポケット学芸員」以外にも使えるアプリはありますし、今後も増やしていく予定なんですよ。「文学を楽しく学べるアプリ」などを作れたらいいなと思います。

赤間さん:ありがたいです。

-まずは、より細かい部分での機能改善ですね。本日は今後の参考になる話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。

<取材年月:2017年7月>

Museum Profile
仙台文学館 土井晩翠、島崎藤村、魯迅をはじめ多くの近代文学の担い手が過ごした土地・仙台の文学館。劇作家・小説家井上ひさし氏が初代館長。先述した晩翠、藤村、魯迅や井上初代館長の資料のほか、今年、直木賞と本屋大賞を同時受賞した恩田陸氏のほか、現在活躍中の仙台にゆかりの深い10人の作家の資料も展示されています。「仙台文学館ゼミナール」や「ことばの祭典」など、知的好奇心を刺激するイベントも活発。周囲は森に囲まれていて、展示を楽しんだら散策へ…と、ゆったりと文学に親しめるスポットです。
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