2020.02.28
行きは寒くても帰りはポカポカ…北海道のあったかミュージアム —— 森の美術館「木夢」訪問記
この日に訪れたのは、北海道の西興部村にある「森の美術館 木夢」。ミュージアムと聞けばどこにでもお邪魔するのが信条の弊社ですが、関西生まれで東京在住の身としては少々圧倒されるような銀世界。バスを降り、心もとない足取りの自分にまたビビりながら慎重に歩くと、目的の建物が現れました。温かさがにじみ出るような外観に、ホッとひと息。まさにオアシスといった趣です。
成り立ちからして、人の温かみにあふれたミュージアム。「みて、ふれて、あそんで、つくる」をコンセプトに掲げるこちらの館は、監修者にして初代館長でもある木のおもちゃ作家、故・伊藤英二氏の想いが隅々まで詰まっています。特にこうした寒い日は、身も心もポカポカになりそうです。
というわけで、まずは常設展示室へ。「伊藤英二メモリアルコーナー」には、触って遊べるおもちゃ作品が所狭しと並んでいます。長く遊べる木のおもちゃは、大事に使えば親子二代、孫の代にだって受け継いでいくことができるもの。入った途端にテンションが上がる子どもたちの姿が目に浮かびます。
こちらでは、2泊3日の合宿で木工を楽しみながら西興部の自然やグルメを堪能できる「ウッディ・サマースクール」というイベントが開催されています。楽しそうな写真にほのぼのとしますが、スクールで制作される作品そのものにも注目を。想像以上に本格的な佇まいです。
続いては、木の妖精によるミュージカルを鑑賞できるトイ・シアターです。今にも動き出しそうな妖精たちで舞台はいっぱい。実物はなかなか圧巻なんですよ。
こちらは、大型の木のおもちゃ…と言うか、ここまで来ると遊具が並ぶ遊園地さながらですね。中でも驚いたのが、本格的過ぎる滑り台。本当に楽しく遊べてしまうレベルです。
さて、この日の訪問で最も興味深かったのが、この「木の砂場」です。粒状に削られた木で埋め尽くされた砂場は、子どもたちに大人気。そりゃ歓声もあがるでしょうね、オジサンの私だってワクワクするくらいですから。
ところが、靴を脱いで足を踏み入れると、足ツボ効果かプチ悶絶状態。単に慣れていないからか、長年の不摂生で内臓のどこかが悪いのか。残念ながら、子どもたちのようにはしゃぎまわることはできませんでした。
サプライズはまだまだ続きます。クリスマスをイメージしたという「サンタワールド」は、ファンタジーの世界に迷い込んだような感覚に。どうですか、このテーマパーク感!
「童心に帰る」というのは、こういうことを言うのでしょうね。何だか妙に浮かれてしまい、ミュージアムショップではかわいらしいスマホスタンドまで購入してしまいました。後で自分の年齢を思い出し、家族へのお土産にしたのですが、実は自ら使う気マンマンでした…。
事前に見た館のホームページでは、「ファーストミュージアム体験」という言葉が印象に残りました。実際に歩いてみて、唸らされました。生まれて初めてのミュージアム体験としてここを訪れたら、その子はきっとミュージアム好きになるに違いない。館を後にする頃には、そう確信しました。
バス停に向かう道で、ふと、自分の足取りが軽いことに気付きました。到着時には縮こまっていた寒さを感じず、豪雪の中でも早足で歩こうとする自分に、ちょっと苦笑い。極寒のあったかミュージアム、とても素敵な出張になりました。
- 西興部村 森の美術館「木夢」 https://komukan.com/
(ホームページはまもなくこちらにリニューアルされます https://www.vill.nishiokoppe.lg.jp/komu/)