ブログ

わせだマンのよりみち日記

2019.03.05

北国のニュースポットはアートの宝庫! 〜小樽芸術村訪問記

小樽の町を歩くと、明治時代を描いた映画に出てきそうな歴史的建造物をたくさん見かけます。特に目につくのは、「昔銀行だった建物」の数々。ここ小樽芸術村は、そんな歴史的に価値ある建物を保存、有効活用しながら多様な芸術作品を展示する施設です。

20世紀初頭に建造された旧荒田商会、旧高橋倉庫、旧三井銀行小樽支店、旧北海道拓殖銀行小樽支店の4棟で構成される「芸術の村」として、2017年9月にグランドオープン。この日は出張で訪れたのですが、幸い少し時間に余裕がありましたので、見学させていただきました。

まず、旧三井銀行小樽支店から。戦前、小樽は「北のウォール街」と称されるなど、北海道経済の中心的存在だったそうです。元・銀行員の私は、外観で「名門店舗の匂い」を感じ取りましたが(職業病でしょうか)、ひとたび中に入ればその薫りはさらに濃くなります。何しろ、こんな雰囲気なんですから。

カウンターは大理石でしょうか。照明や床も豪華絢爛で、スーツに蝶ネクタイの実業家が訪れてきそうな光景。しかも、2階まで全面吹き抜けとなっていて、店内を見下ろすように回廊が囲んでいます。圧倒されますね。

ちなみに、この回廊は実際に歩くことができるようになっています。スタッフの方の解説によれば、監視カメラなどがない時代は、警備員がこの回廊から店舗内を見渡していたのだとか。

監視カメラが「ない時代」ということは、「ある時代」も営業していたのでしょうか? カメラの有無はともかく、何とこちらは、2002年11月まで実際に営業していて、地元の皆さんは普通に出入りされていたのだそうです。ついこの前まで(私の世代にとっては、ですが)映画の中のような風景が日常だったなんて、すごい街ですよね!


こちらは、支店長室か応接室でしょうか。重要な商談が行われていた場所、という空気感が残っているような雰囲気です。


それから、ここは会議室。こんな重厚感たっぷりの調度品や内装に囲まれての会議に参加する自分を想像すると、変な汗が出てきそうです。グッと来るほど格好いいけれど、銀行員時代を思い出して、何とも落ち着かない気分…ということで、そそくさと次へ。


こちらも絵になりますね! 小樽芸術村の入り口、運河に面した「旧荒田商会」の建物はミュージアムショップになっています。そこを通り抜けるとかつて大豆を貯蔵していた「旧高橋倉庫」があるのですが、現在はステンドグラス美術館となっています。

ステンドグラスが映えるように室内は暗くなっていますが、とにかく数が多くて圧巻の一言でした。写真をご覧いただければ、少しは雰囲気が伝わると思います。


どうです、凄いでしょう? ステンドグラスって、実はとても緻密な絵で構成されているんですね。描かれている人物を大きく撮影してみたのですが、目の周りのしわや髭の毛並みまで、ものすごく細かく描かれています。思わず近寄って凝視してしまいました。

 


最後に、似鳥美術館です。ここは館内の写真撮影ができませんので、ぜひ足を運んでいただきたいと思います。と言うのも、とにかく作品の幅広さがすごいんです。

横山大観や河合玉堂といった王道の日本画に息をのみ、上村松園や伊藤深水の描く女性に見とれ、東山魁夷や平山郁夫の描く風景に入り込んだかと思うと、梅原龍三郎や岸田劉生、藤田嗣治などの洋画も堪能し、山下清や棟方志功に引き込まれる…といった感じ。加えて、ビュッフェやシャガール、ルノワールなど海外の名画、さらには高村光雲の木彫やアールヌーボー・アールデコ・グラスギャラリーまで。これだけの名作の数々を移動することなく鑑賞できるのですから、見応え十分です。ぜひ、皆さんご自身の目で。


さて、道路を渡ると、そこは有名な小樽運河。ご覧の通り、この日は運河の水も氷る寒い一日だったのですが、それを吹き飛ばすくらいにホットだった小樽のアートスポット。また訪れる日が楽しみです。

小樽芸術村 https://www.nitorihd.co.jp/otaru-art-base/