2014.08.06
一人は南へ、一人は北へ
徳之島&種子島と礼文島、同日訪問記
2,200kmも離れた距離でも、ミュージアムIT屋さんなら同じ日に行けます!
たまたまですけど。
新年度が始まった4月のある日、弊社でたまたま重なったスケジュール上の偶然に、スタッフたちが顔を見合わせました。弊社では、東京から全国への出張が珍しくありませんが、その週はスタッフHが南は九州の徳之島と種子島へ、そしてUが北は北海道の礼文島を訪ねることになっていたのです。
日本列島を南北大縦断した場合、両者の距離は何と実に約2,200kmとか。弊社は「ミュージアムがあれば、どこでも参上いたします」というのがモットーですが、それにしてもこの距離は凄いなあと思ってしまいました。
今回の訪問は、実は博物館クラウドならではの事情がありました。近隣にシステム導入館が少なかったり、職員数が少なかったりといった困難をお抱えだったので、直接うかがってご相談を承ることにしたわけです。
各館とも意欲たっぷりで、収蔵資料のデータ整備を着実に進めておられ、弊社スタッフも感心しきり。こうしたご奮闘ぶりをぜひ皆様にお伝えしたいと考え、「プチ特集」を組みました。
種子島 スタッフの努力が実を結ぶ! 種子島開発総合センター「鉄砲館」
まずは南から、徳之島・天城町社会教育課への訪問です。この日は操作説明に訪れたのですが、これも偶然、その当日にデータベースのインターネット公開を実現されました。それもかなりの「スピード公開」で、弊社スタッフもただただビックリしました。
こちらでは、もともとファイルメーカで文字データを整備しておられました。画像データは公開のために準備したもので、文字と画像のデータ同士が初めて「出会い」を果たした格好です。データの一括登録などをサポートした弊社スタッフによれば、「元のデータがよくできていた。公開を視野に入れておられたのだろう」とのこと。I.B.MUSEUM SaaS の導入にあたって項目の見直しを行ったところ、ほとんど最低限の作業で済んだそうです。
いまは公開が果たせなくても、先々のために準備する。そんな真摯な姿勢が実現した「超スピード公開」、見習わなければと思わずにはいられませんでした。
種子島 スタッフの努力が実を結ぶ! 種子島開発総合センター「鉄砲館」
次は種子島・西之表市、種子島開発総合センター「鉄砲館」の取り組みです。こちらは先ほどとは対照的に、もとのデータは紙台帳でした。臨時職員の方々の協力のもと、紙台帳のデジタルデータ化を行うという事業だったのですが、始めてみるといろいろと出てくるものらしく、台帳自体の検証が必要になったそうです。
資料実物にあたって写真を撮り直し、資料分類も再検討と、全体の見直しを行うという思わぬ大事業に。入力担当の皆さんが入
力業務に留まらず積極的に実物の確認作業を行うなど、労を厭わぬスタッフの頑張りによって着実に進んでいるそうです。
この作業を通して、資料の詳細や状態などまで把握し直す機会が生まれ、今後はこれらの情報もシステムに登録して共有を図っていかれるとのこと。管理品質の向上という付帯効果も生み出しながら、公開の方も着々と準備を進めておられます。
礼文島 システム導入の契機は重文指定! 礼文町教育委員会
最後は北からの報告。礼文町教育委員会の事例です。こちらはシステムを導入したばかりでこれから利用される段階ですが、きっかけとなったのは、地元の船泊遺跡の出土品が国の重要文化財に指定されたことだったそうです。
重要文化財は1,616点の考古資料で、まずはこのデータを整えることに。いずれはインターネットでデータを公開する計画もあり、意欲的に作業を進めておられました。
訪問時には展示も見せていただきましたが、ニシン漁が盛んだった礼文島の昔の様子がわかる写真や漁具、それに、日本に移り住んだ外国語指導助手が撮影した島の美しい写真がズラリ。ゆくゆくは、これらもデータベースに登録し、公開していく方針だそうですので、個人的にもとても楽しみにしています。
帰社してひとこと
最近、博物館でのシステム導入は急増していますが、導入前に「近くの先行館の事例を見学に行く」のが定番となってきました。弊社もよくご相談を受け、近隣館をご紹介したりしていますが、この3つの館の立地条件を考えれば、なかなか「近く」というわけにもいきません。それでも意気揚々と公開準備を進める皆さんは、どなたもお顔が輝いていました。その雰囲気が、写真から少しでも伝わればと思います。