ミュージアムインタビュー

vol.198取材年月:2023年2月埼玉県立歴史と民俗の博物館

多くの先輩方が整えてくださったデータと、便利な機能群。
あとは私たちが利用範囲を広げて、さらに活用していきたいです。
学芸員  鈴木 一史 さん

-パッケージ版のI.B.MUSEUMからクラウドにご移行いただきました。鈴木さんがご着任前のことですが、その経緯などはお聞きになっていますか?

鈴木さん:はい。最初のシステムは、平成21年度からデータ作成などの準備をはじめて、平成24年度に導入したと聞いています。県立4館で共通のデータベースを使っているのですが、当時はデータを更新できるPCが当館のみに設置されていましたので、ほかの3館からデータを提出していただいて当館で登録するという流れだったようです。

-大変な作業だったでしょうね…。3館の皆様が資料情報を検索する時は、どうなさっていたのですか?

鈴木さん:外部向けの公開ページを使っていたそうですよ。

-ということは、管理システムに直接アクセスできるようになった各館の皆様もお喜びになったでしょうね。鈴木さんのご着任も、その前後ですよね。

鈴木さん:ええ、私が当館の資料調査・活用担当となったのは令和3年度で、ちょうど移行が完了したあたりの時期でした。

-以前のお勤め先も弊社システムをご利用いただいていて、鈴木さんもポケット学芸員のご導入に関わっておられましたね。システムもお使いでしたか?

鈴木さん:いえ、担当業務が違いましたので、実はあまり触れる機会がなかったんです。当館で使ってみたらデータがしっかり整っていて、収蔵場所まで登録されていたので感動しました。

-諸先輩方の地道な努力のおかげですね。

鈴木さん:頭が下がりますよね。デジタルデータの充実もさることながら、紙の資料カードからして本当によくできていたんですよ。何しろ、今でもカードに立ち戻ることがあるくらいですから。

-今はご担当でなくても容易に情報を扱える時代ですからね。その下地を整えてこられた方々のご苦労が、改めて実感できますね。

 


-さて、その令和3年度から本格稼働を始められたI.B.MUSEUM SaaSですが、使い心地はいかがですか?

鈴木さん:お陰様ですぐに慣れました。毎年の寄贈資料の登録やデータの修正、詳細情報のメンテナンスなどでよく使います。若手を中心に検索機能は日常的に使っています。

-最近よく話題になるのですが、資料管理についても資料利用のメニューをご利用いただくと、とても便利に記録できますよ。ぜひご活用ください。

鈴木さん:そうなんですか、さっそく試してみます。そうそう、それに関連してのお願いなのですが、そうした情報をサッと取り出せる初心者向けのマニュアルを作っていただけませんか? 今のマニュアルは充実しているのですが、少し詳しすぎて。

-「はじめにお読みください」的な冊子ですね。マニュアルについてもよくご相談いただきますので、どんなものがよいかさらに検討してみますね(メモ)。

鈴木さん:ほかにもいくつかあるのですが、よろしいでしょうか。

-ぜひお聞かせください。

鈴木さん:私たちは4館で利用していますので、その分、毎年の人事異動では多くの関係スタッフが動くことになります。そのつどIDの発行・削除を行うのですが、権限設定などの管理がかなり大変でして。

-なるほど、アクセスしてこられる3館の方々にも権限を細かく割り振れるようになったがゆえに、別の課題が生じたわけですね。

鈴木さん:今はExcelで全ての使用職員の一覧表を作っています。まず各スタッフの権限を決めて、個別のIDを発行し、通知文書を作成した上で、一人ずつ送って周知するという流れなのですが…。

-(一覧を見ながら)うわ〜、これはすごい、正確に管理するだけでも負担がかかりそうです。せめてシステム側の権限設定の操作がもっとシンプルであって欲しいですよね。いや、タイプやグループでまとめて設定できるようにしないと…。

鈴木さん:そうそう、まさにその機能が欲しいんです(笑)。権限を一括して設定できる機能、ぜひご検討いただければ。一括といえば、画像もまとめて登録したいところですね。

-なるほど(メモ)。画像の一括アップロードは進行中のリニューアルでとても使いやすくなると思いますので、それまで少々お待ちください。ほかにはいかがですか?

鈴木さん:資料カードを印刷できるのはとても便利なのですが、レイアウトの作成が少し取っつきにくいですかね。もう少し直感的に操作できると助かります。

-細かな調整が難しいというお声は確かに耳にしますので、改善を検討しますね(メモ)。

鈴木さん:それから、これは相談なのですが、よろしいですか?

-もちろんです。どんなことでしょう?

鈴木さん:資料群の情報を管理するには、どうしたらいいでしょう? 今は資料番号の階層で区別できるようにしてあるのですが、たとえば年度が分かれる時などは番号体系では表現しづらい部分がありまして。

-まず大分類をひとつ用意して、資料群としてのデータを作ったら、そこに属する資料を紐付ける形になさるとよいのではないでしょうか。そうそう、システムの人物管理機能を資料群の管理に代用しておられる館もありますよ。いくつか方法がありますので、一長一短を改めてご説明しますね。

鈴木さん:助かります、ぜひよろしくお願いします。それから、当館は有償で画像データの貸出に対応しているのですが、履歴の管理などをシステム上で行うことはできますか?

-資料に付随する画像なら、画像そのものを資料データとして登録すれば、資料利用の機能を活用できます。ただ、資料そのものと紐付く画像が同列に管理されることになりますので、現状ではあまりおすすめできません。

鈴木さん:なるほど。今はExcelで貸出管理を行っているのですが、無理にシステム化しないほうがよいですかね?

-そう思います。ただ、画像の貸出をマネジメントしてくれるサービスがあるはずですので、少し調べてみますね(メモ)。

 


-では、今後の目標などはありますか?

鈴木さん:まずは利用範囲を広げたいですね。便利な機能がたくさんありますので、それを職員みんながフルに活用できる館内文化を育てていきたいです。

-こちらは立地が公園の中ですし、学校連携などの需要も多いのでは。

鈴木さん:はい、火おこし体験などは特に人気がありますよ。

-それなら、子どもたちにポケット学芸員のナレーション体験の機会を提供なさっては。両親や友だちを連れて自分のナレーションを聞きに来てくれるでしょうし、手軽に取り組めるミュージアムDXとしても最適かと。

鈴木さん:それはよいですね、検討してみます。ミュージアムDXといえば、当館もジャパンサーチとの連携を検討しています。

-スタッフから報告を受けました。もちろん弊社もサポートさせていただきますので、ご不明な点などはお申し付けくださいね。本日は具体的なご指摘をたくさんいただき、勉強になりました。ご多忙のところ、本当にありがとうございました。

 

Museum Profile
埼玉県立歴史と民俗の博物館 平成18年、埼玉県立博物館と埼玉県立民俗文化センターが統合する形でリニューアルオープンを果たした博物館。「埼玉における人々のくらしと文化」をテーマに、歴史・民俗・美術工芸の3分野を10の常設展示室で展示しています。特別展や企画展、さらには体験イベントも活発で、子どもから大人まで楽しみながら埼玉の歴史や文化を学べると大評判。家族連れにも人気のミュージアムです。さくら名所百選や都市公園百選といった企画の常連でもある大宮公園内に立地し、建築家・前川國男により設計された建物は「公共建築百選」にも選定されています。

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