- vol.158取材年月:2019年12月ミュージアムパーク茨城県自然博物館
私たちが円滑に仕事できるのは、先輩方のおかげ。
だからこそ、後進のためにも、いましっかり取り組みたい。資料課 主任学芸主事 地学担当 前橋 千里 さん
資料課 学芸員 伊藤 彩乃 さん
-まず、お二方はいつ頃こちらに赴任されたのでしょうか。あと、ご専門の分野についてもお聞かせください。
伊藤さん:私は2017年4月に着任しましたから、来春で3年になります。植物分野を担当しています。
前橋さん:私は今年の4月に来たばかりなんです。その前は教員だったんですよ。こちらでの担当分野は地学です。
-こちらに来られた時には、すでにI.B.MUSEUM SaaSが稼働していたということになりますね。すぐに慣れていただけましたか?
伊藤さん:ええ、わかりやすいし、使いやすいですし。はじめはGBIF(地球規模生物多様性情報機構)へのデータの登録でよく利用しましたが、システムからデータを抽出して国立科学博物館に提供する際、Excelへの出力がしやすくて助かりました。
-なるほど。出力まわりでは、いろいろとアシスト機能もご用意しておりますので、お役に立ったなら何よりです。前橋さんはいかがですか?
前橋さん:帳票を作る機能が便利ですね。あれはすごくいいと思います。
-ありがとうございます。もう使いこなしておられますか?
前橋さん:これから本格的に使うことになります。今年度中にラベルを作ることになったのですが、この夏に御社の方が説明に来てくださったので、頑張ります。
-今年度中にラベルを? 何かあったのでしょうか。
前橋さん:地学研究室のメンバーは、週に一度、紙に出力したI.B.MUSEUM のデータを収蔵庫内で照合する作業を行っていまして。資料の保管場所が登録とズレていることなどを見つけたらデータを修正して、未登録の標本が見つかったら追加して…という作業ですね。
-収蔵庫の整理やデータと資料実物の突き合わせ作業は、多くの館で「やらなきゃ」という声を耳にしますが、現実的にはなかなかうまく進まないことが多いようです。職員の皆さんのご負担も大きいでしょう?
前橋さん:ええ、でも学芸員2名のほかに、ボランティアさんにも手伝ってもらっていますから。多い時には6~7人で作業にあたっているんですよ。
-ラベルが必要になったということは、ゴールが見えてきたということでしょうか?
前橋さん:そうなんです。何か月にもわたった作業がいよいよ終了ということで、これからラベルを作って貼っていくことになっているんです。
-素晴らしいですね。作業完了も凄いですが、そもそもよく実行に移されましたね。
前橋さん:「いま、しっかり取り組んでおけば、後進のためにもなる」という学芸員の発案に、みんなが納得しまして。当館は30代前後の年齢が近い職員が多いので、チームワークもスムーズで。
伊藤さん:馬力もありますしね(笑)。
-若手が積極的に意見を出して、みんなで力を合わせて実行するというのは、本当に素晴らしいと思います。ラベルづくりも円滑に進むとよいですね。
前橋さん:頑張ります(笑)。
-タイミングよく、ちょうど編集して自館の書式を作れる帳票テンプレート機能が搭載されるところなんですよ。もちろんラベルも見本が用意されますので、ぜひご活用くださいね。
-Excelや帳票への出力は、データがきちんと登録されていることが前提の機能となります。その前段階にあたる登録作業の方はいかがですか? 既存の資料点数も多そうですし、現在も増えているのでは?
伊藤さん:そうなんですよ、増えまくりです(笑)。特に植物標本はありがたいことに寄贈も多く,毎年1,000点以上は増えています。地学もそうですよね?
前橋さん:そうですね。当館では、県内の標本を集める総合調査事業を開館当時から手がけていますので、毎年一定数は確実に増えますね。
-先ほど照合作業が終わったというお話をうかがいましたが、今後も大変な入力作業が続きそうですね。
伊藤さん:はい,入力作業は大変です。でも、登録作業はさほど大変という印象はないんですけどね。
-そうなんですか?
伊藤さん:ええ。Excel上でざっとデータを作ってしまえば、あとは一括登録機能を使えるじゃないですか。
-おお、すごい(笑)。まさに仰る通りなのですが、事も無げに。
伊藤さん:ですので、「使いやすい」と(笑)。
-ありがとうございます。ということは、仮登録の時にデータの間違いを検出して画面上で修正する機能なども使いこなしておられるのでしょうか。
伊藤さん:使っている学芸員もいます。でも私はその機能はほとんどお世話になることはないです。
-え? ということは、Excelの段階でほぼエラーのないデータを作っておられるということですか?
伊藤さん:Excel上でのデータ形式をきちんと定めてくださった先輩方のおかげです。もちろん、「標本のラベルとデータの中身が違う」といったこともありますので見直しは必要ですが、最小限の修正で済んでいると思います。
-いやはや、理想的な運用だと思います。おみそれいたしました。
-最近では、ポケット学芸員もご利用いただいていますね。
前橋さん:ええ、私が着任するひと月前から利用してますね。常設展示だけでなく、年3回の企画展でも活用しているんですよ。
-それはすごいですね。配信するコンテンツの準備が大変になるかと思いますが。
前橋さん:研究室ごとに件数を決めて作ったんですよ。もともと音声ガイド機はあったのですが、コンテンツは新たに作り直しています。
-先ほど常設展示室で試してみましたが、ナレーションはどう制作されたのでしょうか。
前橋さん:日本語については、実は合成音声なんですよ。英語版は、翻訳の業者さんに何度も来ていただいて、しっかりしたものに仕上げましたが。
-あれ、機械の声だったんですか。よくできていますね~。
前橋さん:今年は中国語も対応する予定なんですよ。
-あらゆる方面で着実に進化されていますね。アプリのダウンロード状況はいかがですか?
前橋さん:皆さんにダウンロードしていただくのは、やはり簡単ではないですね。でも、御社がご用意くださったリーフレットを設置したり、貸出用のタブレットを用意したり。
-なるほど、あらかじめダウンロードされたタブレットですか。専用機をお使いだった経験をお持ちの館ならではの発想です。
前橋さん:ありがとうございます。最近は、タブレットの存在を知っていただくためのポスターを作って貼り出したりしているんですよ。
-ポケット学芸員でしか得られない情報を用意するのはいかがです? 企画展の時などにはテーマに合わせたクイズを出題して、正解したら関連グッズがもらえるとか。いや、ヒントがポケット学芸員で配信されたら面白いかも。
前橋さん:なるほど、それいいですね。
伊藤さん:クイズ自体をポケット学芸員の中で完結できると、さらに使いやすいかもしれませんね。
-確かに。次の機能アップのアイデア、ありがとうございます(笑)。
前橋さん:いえ、こちらがヒントをいただいた側で。
伊藤さん:活用できそうですよね(笑)。
-本日は元気を分けていただくようなお話をたくさんお聞きできました。お忙しい中、本当にありがとうございました。
- Museum Profile
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ミュージアムパーク茨城県自然博物館
生命の誕生、宇宙の進化から、身近な茨城の自然まで。充実した展示に加えて15.8ヘクタールにも及ぶ広大な野外施設が併設された、見どころたっぷりの博物館です。館内で学んだ知識を屋外で確かめたり、トランポリンなどで体を動かしたり…と、まるでテーマパークのような楽しさにリピーターが続出中とか。25周年を迎えて累計の来館者数も1,100万人を突破するなど、休日の定番スポットとしてすっかり地域に定着した人気ミュージアムです。
ホームページ : https://www.nat.museum.ibk.ed.jp/
〒306-0622 茨城県坂東市大崎700
TEL:0297(38)2000