ミュージアムリサーチャー

ミュージアムレポート

博物館の音声ガイドというと、専用の機器やヘッドフォンを貸し出すのが普通。「紙とペン」は音声や映像とは対極にあるような気がしますが、鹿児島県立博物館様では、「ペンを貸し出して音声の案内をされたとのことで、お話を伺ってきました。

館内案内のシートが1枚。展示内容が箇条書きで書かれています。本当はひとつひとつ、詳しく説明したいけれど、スペースの都合で書ききれない。そこで、知りたい内容のところにペンをくっつけると、詳しい内容を説明する音声が、ペンから聞こえてくるんです。

音声はプロがナレーションを入れたもので、大変聞きやすくできています。これだけの文章をすべて印刷するとなると、1枚のシートではなくて冊子になってしまいますよね。そうすると、見る側は冊子をパラパラめくって、見たいところを探さなければなりません。でもこの方法だと、1枚のシートにすべて収まっているので、自分の見たいところにペンをあてるだけ。とってもラクチンです。また、英語版や中国語版も用意され、外国人への案内も完璧。

ナレーションの原稿はすべて博物館で用意され、館内案内シートと音声データは専門業者が制作という役割分担で、出来上がった音源の権利は博物館が持たれているそうです。なので、ナレーションの再利用も可能。展示の写真をスライドショー風に映像化して、ナレーションとセットすれば、動画の案内も簡単に出来上がります。あとでYouTubeに「鹿児島県立博物館案内チャンネル」を作ることもできるかもしれません。英語版、中国語版の動画と音声で、世界に向けたアピールも可能。アイデアと発展性がいっぱいの、要注目の試みです。