- vol.126取材年月:2017年6月名古屋大学減災連携研究センター(減災館)
在庫管理・棚卸しシステムと、収蔵品管理システム。 2つを組み合わせれば、さらに使い勝手が上がりそうです。技術補佐員 末松 憲子 さん
-末松さんは、以前の職場でも I.B.MUSEUM をお使いの経験がおありとか。
末松さん:ええ、在籍していた館に導入されていましたので。その後、いくつかの職場を経て、当館では2015年から技術補佐員として働いています。
-こちらに着任されたころはどんなご様子だったのですか?
末松さん:開館から1年。2Fの減災ライブラリーの書棚は、所属の先生方の所蔵本、市町村からの寄贈本(自治体史・地域防災計画・ハザードマップなど)、購入本などで、ひとまず本棚が埋まっている…くらいの段階でしたね。当時は、データベースどころかExcelも紙の台帳もないという状態でした。
-もしかして、データを起こすところから取り組まれた、とか?
末松さん:いえ、それはさすがに業者さんにお願いしました。ただ、どこに何があるかを把握しているのが前任者だけという状態でしたので、まずはきちんとした形で目録を作る必要がありました。
-そうしたケースは割とよく耳にしますね。そこからデータベースのご導入となったわけですが、きっかけは?
末松さん:その業者さんから、「管理用のソフトウェアを導入してみては」というアドバイスをいただいたんです。
-なるほど。ということは、システム選定が、こちらにご着任後の末松さんにとって最初の大仕事となったわけですね。
末松さん:そういうことになりますね。先ほど、以前の職場で I.B.MUSEUM を利用していたとお話ししましたが、その前の職場では他社製でしたが同種のシステムを使っていました。あと、大学図書館でも。
-それなら、慣れていたどころか、日常業務の中ですでに使い比べておられたということになるわけですね。それでも、改めて製品の比較検討はされましたよね?
末松さん:ええ、以前の経験を踏まえながら幅広く比べました。当初は予算面から、小規模学校図書館向けのシステムにしようかと思っていました。
-あ、I.B.MUSEUM SaaS が第一候補じゃなかったのですね。では、そのあたりからお聞かせください。
-最初はほかに有力候補があったとお聞きして、何だか落ち着かない展開です(笑)。
末松さん:結末をご存じじゃないですか(笑)。
-まあ、そうなんですけれども。では、続きをお願いします。
末松さん:その時に検討していたシステムは「請求記号の入力値に制限がある」「フリー入力欄がない」など、そのままだと困る問題が残っていました。書棚には地震・防災に関わる図書が、すでに独自のカテゴリ別に並んでいましたから、十進分類に並べなおすよりも、並び順を生かして独自の請求記号を作った方が良いと思いました。その為には、使える文字種と桁数が多いシステムの方が良かったんです。また、所属の先生の研究の関連で、一部書籍のみ目次データが存在していました。できたらそれも載せたいな、と思って探したんですが…難しかったですね。専門図書館向けのシステムだと問題はクリアしていたんですが、予算オーバーで。そこで、以前仕事で使っていたシステムも駄目もとで、と調べてみたら、御社のクラウド版を見つけまして。以前とは比較にならないほど低コストで、驚きました。
-クラウドでなければ、こうしたご縁もなかったわけですね。でも、こちらは図書システムがメインですよね。I.B.MUSEUM SaaS は、もともと博物館収蔵品を管理するために作られたシステムですから、図書でのご利用を考えると「大丈夫かな」と。
末松さん:図書の検索システムとして十分に使いやすいですよ。それに、当館は新しい種類の資料が増えることがありますから、項目の欄を自由に増やせるのはとてもありがたいです。
-つまり、コストとともに、日常でのリアルな使い勝手を追求されたわけですね。
末松さん:そういうことになりますね。それに、図書以外の展示資料もまとめて管理できますし。
-確かに展示資料は得意分野ですが、図書管理ではさすがに図書館システムのようにはいかないのでは、と思うのですが。I.B.MUSEUM SaaS では足りない機能がありませんか? たとえば、蔵書点検とか。
末松さん:それは…ちょっと痛かったかも(笑)。本音を言えば、MARCデータの取り込み機能も欲しいところですね。
-ですよね。それでもお選びくださった、と。
末松さん:要は優先順位の問題ですね。蔵書点検は確かに重要な業務ですが、実は在庫管理・棚卸システムがありましてね。バーコードリーダーとセットになっていて、I.B.MUSEUM SaaS と組み合わせて運用できそうな方法が見つかったんですよ。
-え、それは興味深いですね。
末松さん:自分でも「よいアイデアなんじゃないかな」と思って、すでに御社のサポート担当の方にもお話してあるんですよ(笑)。
-いや、本当に驚きました。2つのソフトウェアを組み合わせて新しい機能を生み出すということですよね。帰社したらすぐに確認しますので、出来上がったら好事例として全国に紹介させてくださいね。
末松さん:うまく行けば、ですけどね。
-楽しみにしています。素晴らしいです。
末松さん:恐れ入ります(笑)。あと、これは当館の特殊事情なんですが、ハザードマップなどを続々と受け入れていまして。そのまま本棚に入れると探せなくなるので分厚いファイルに収納して本棚に置いているのですが、受け入れ順にファイルしていると、あとで探すのにすごく苦労しますよね。
-(マップの入ったファイルを拝見しながら)確かに。ファイルに綴じずに本棚に入れると整理しにくいし、ファイルに入れるとどこに何が入っているかがわからなくなってしまいそうです。
末松さん:そこで、I.B.MUSEUM SaaS に「収納ファイル」という項目を後から追加したんです。
-なるほど。検索してどのファイルにあるかを見つけるわけですね。
末松さん:そうです。I.B.MUSEUM SaaS は、こういうイレギュラーなものにも簡単に対応してくれるので、助かっています。
-分類や項目を自由に追加・変更できると、ジャンルが増えて運用が変化する時に便利ですよね。
-見たところ、図書館のような貸出カウンターがないようですね。貸出業務は行っておられないのでしょうか。
末松さん:それはないのですが、先生方が研究用にお持ちになることはありますよ。
-そんな場合、「どの先生がどの書籍をお持ちになったのか」という情報をI.B.MUSEUM SaaSで管理するのは大変なのでは?
末松さん:その部分は、今はシステムを使わずに対応しているんです。バーコードの連携が完全じゃないですからね。
-蔵書点検などでバーコードとI.B.MUSEUM SaaS の運用が軌道に乗ってからの話かと思いますが、名簿データベースの機能と併せて使えば、もう少しスマートな方法をご提案できると思います。
末松さん:ぜひ、そうなって欲しいですね。あとは、パワーポイントのファイルなども登録できると嬉しいです。
-ファイル自体をI.B.MUSEUM SaaS に登録することはできませんが、保存場所情報をリンクとして登録しておけば、ワンクリックで呼び出せるようにすることならできますよ。
末松さん:そうなんですか。それならすごく便利になりそうです。
-サポートスタッフに伝えておきますので、その機能もぜひお使いください。
本日は、大変参考になりました。お忙しい中、ありがとうございました。
- Museum Profile
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名古屋大学減災連携研究センター(減災館)
大地震発生時における対策、被害の軽減・減災に向けた社会的な戦略など、名古屋大学減災連携研究センターの研究成果が多数展示されています。五感で災害を体験できる展示法が特徴で、VRなどの先進的なものだけでなく、津波の高さが実感できる垂れ幕や、実際に倒壊する様子を再現する木造軸組模型など、災害への備えの大切さを体感的に理解できる有意義な場所。2014年に開館した新しい館ですが、すでに重要な役割を担う注目の施設です。2017年2月に来館者が4万人に達しました。
ホームページ : http://www.gensai.nagoya-u.ac.jp/
〒464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学減災連携研究センター
TEL:052-789-3468