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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

資料情報の公開には大変な作業が伴いますが、
できるだけ早くスタートを切れるよう頑張ります。
専門学芸員 鈴木まほろ さん
専門学芸員  鈴木まほろ さん

-今年度から I.B.MUSEUM SasaS をご利用いただいていますが、まずはご導入のいきさつからお聞かせいただけますか?

鈴木さん:資料情報のデジタル化自体は、平成11年から、緊急地域雇用特別交付金事業によって行なったと聞いています。3年間、8人ほどの方に来てもらって、資料カードの入力を進めたそうです。その時点で10万件以上の資料情報がありました。

-それが、以前お聞かせいただいた、ACCESSで作ったシステムですね。当時の職員の方が作成なさったんですか?

鈴木さん:いえ、業者さんにお願いしたみたいですよ。メンテナンスはお願いしていなかったので、完成後はデータを追加することしかできなくて。データ量が多くなってくると、動作が非常に遅くなって不便でした。担当の職員が時々メンテナンスをしていましたが、慣れない作業に苦労していましたね。。

-件数が多いので分野ごとに別々のデータになっていたりしたようですね。労作でしたが、少しご不便だったろうなあと思いました。そう言えば、画像データはどうされていたんですか?

鈴木さん:ACCESSのシステムには入っていませんでしたね。

-本格的に専用システムのご導入を検討された理由は、そのあたりにあるのでしょうか?

鈴木さん:いえ、別の理由ですね。館の中長期活動目標の中で、「資料情報の公開」が目標のひとつに挙がりました。当時のACCESSのままでは情報公開はできませんでしたから、専用のシステムが必要だね、ということになったんです。

-当時、何度か予算獲得にトライされたようですね。サーバを導入して自前のシステムを構築するには、やはり予算的に厳しかったのでしょうか?

鈴木さん:そうですね。ちょうど早稲田さんがクラウドサービスを始められたので、費用の問題がクリアできたというわけです(笑)。金額だけじゃなくて、館でサーバを持つ必要がないという点も大きかったですね。

-タイミングが良かったようで、何よりです。


100段の階段を登り切ったら博物館に着きます。100段の階段を登り切ったら
博物館に着きます。

-I.B.MUSEUM SaaS を初めてご覧になった時の印象をお聞かせいただけますか?

鈴木さん:「思ったよりもとっつきやすそう」という印象を持ちましたね。何となく触っていれば操作を覚えられそうな感じで、ほかの学芸員にとっても心理的なハードルは低かったんじゃないかな。

-それは嬉しいですね。じゃあ、皆さんすでに慣れておられるとか…?

鈴木さん:すぐに慣れた人もいますが、使いこなしているかどうかは、人によって濃淡がありますね。あと、システムを使えるようになりさえすればデータを公開できるというものでもないですし。

-あっ、それは別の館でも伺いました。情報を外に出す前に、相当に念入りな検証が必要とか。

鈴木さん:そうなんですよ。ACCESSに入っていたデータはシステムに移行できましたが、これを公開するとなると、まず情報を選別した後、1点1点の内容についての判断が必要になるんです。解説文を書き直すような感じですね。

-それだけでも大変な作業ですよね。

鈴木さん:それに、資料の写真を撮り直したり、アナログの写真をデジタルデータ化したり。作業には予算も見込まないといけませんしね。

-点数が点数だけに、コストもかかりそうですね。

鈴木さん:そもそも、ACCESSに登録されていたデータは、公開を前提としたものではないですからね。どちらかと言えば学芸員の覚え書きのようなものでしたから、公開データに仕上げるには加筆・修正したり、ものによっては新規で書き起こしたりしなければならないんです。展示のキャプションを作る作業に似ていますね。

-となると、公開までには少し時間がかかりそうですね。

鈴木さん:とは言え、悠長に構えているわけにもいきませんので、年度内に各部門10点ずつでも公開に漕ぎ着けたいと思っています。

-それは楽しみですね!公開用のデザインパターンも増やしたばかりなので、いろいろ試してみてくださいね。

鈴木さん:あ、拝見しました(笑)。画面をプリントアウトして、みんなに回覧しました。すでに「このデザインで行こうか」という方向性も見えていますよ。

-それは失礼しました。公開が現実味を帯びて、盛り上がっておられるようですね。

鈴木さん:そうですね、システムについての意見も出始めていますし。

-公開の機能についてですね。ぜひお聞かせください。

鈴木さん:外部向けの公開機能は、共通の項目で検索するようになっていますよね。でも、当館は総合博物館なので、分野ごとに検索してほしい情報が異なるんです。

-ふむふむ。たとえば?

鈴木さん:歴史分野の場合は「時代」や「地域」で検索して欲しいけれど、別の分野では「時代」では検索しにくいこともありますよね。そのあたり、もう少しフレキシブルになるといいなあという話は出ています。

-なるほど、確かにそうですね。さっそく検討課題とさせていただきますね。


-実際にご利用いただく中で、ほかに改善をお望みの点はありますか?

鈴木さん:改善というほどのものでもないのですが…。このシステムはまだ進化中ですよね? 

-そうですね。今後も新しい機能の追加を予定しています。

鈴木さん:すでに機能追加を経験しましたが、画面上でボタンが増えたり見た目が変わったりすると、人によってはちょっと戸惑うみたいですね。特に操作に自信のない職員は、せっかく覚えたのに…と、少しガッカリすることもあるようで。

-なるほど、それは申し訳ありません。機能が追加されると喜んでいただけるとばかり思っていて、気配りが足りませんでした。ちょっと方法を考えないといけませんね…。

鈴木さん:新しい機能は、私自身はぜひ使ってみたいと思いますが、それを学習する時間が取れないこともあります。実際、ほかの職員からまだ私が見ていない機能について質問を受けて、「あれ?」ということもありました。

-見栄え自体が変わるような機能追加は、頻度を少し下げて、まとめて実施したほうがいいのかな…。もっと丁寧にアナウンスすることも必要か…。

鈴木さん:使いやすくなっていくのは、楽しみでもあるんですけどね。

-そのあたりも含めながら、公開機能をもっと充実させて、博物館に足を運ぶ人が増えるのに少しでも役立つことができればと思っています。いま、Web展覧会とか、地図連携機能なんかを考えているんですよ。

鈴木さん:へえ、地図の表示はいいですね。小学校の先生などが、地域に関連する資料を探すような時に使ってもらえそうです。きっと喜んでいただけると思いますよ。

-鈴木さんをはじめ、皆さんからご意見をいただいて、使いやすくて役に立つシステムに育てていければと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

<取材年月:2012年9月>

MUSEUM PROFILE

岩手県立博物館
岩手県の県制百年を記念して昭和55年(1980年)10月に開館した総合博物館。
地質時代から現代に至る地質・考古・歴史・民俗・生物などの資料が多数展示され、県の自然と文化の豊かさが自然に伝わってきます。実際に手で触れられる資料も用意された体験学習室は、子どもたちに大人気。また、緑豊かな敷地には地元の代表的な民家である直屋(すごや)と曲り屋が展示されており、散策用の広場もあって1日過ごしても飽きないほど。学びと遊び、そして郷土愛の宝庫です。
ホームページ : http://www.pref.iwate.jp/~hp0910/
〒020-0102 岩手県盛岡市上田字松屋敷34番地
TEL:019-661-283
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