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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

システム活用で重要なのは、まず「慣れる」こと。
館の業務改善の可能性は、ここから拓けてきます。
学芸部課長補佐 マイ・ミュージアム担当チーフ 加藤 信男 さん
学芸部課長補佐 マイ・ミュージアム担当チーフ 加藤 信男 さん

-先日、個別開発のシステムからI.B.MUSEUM SaaSへと移行されましたね。円滑に運用していただけているか、とても気になっていたのですが…。

加藤さん:ええ、大丈夫ですよ。担当の方にもよくしていただいて、かなり細かい相談にも乗ってもらっていますから。

-それはよかった。実は、加藤さんの前任の方には、SaaS版開発の構想段階でご意見を伺っていたんですよ。

加藤さん:そうなんですか?

-ご利用のご意向をお持ちでしたし、ひと通りの資料分野のある総合博物館ですから、分野別の項目設定についてご相談したり。

加藤さん:そんなことがあったんですね。サーバの維持は、館にとって懸念材料だったからでしょうね。

-OSの切り替え時期でしたよね。

加藤さん:ええ。サーバの保守が受けられなくなることが確実になって、サーバなしで運用できる方法を考え始めた時期でした。

-そこに、ちょうど弊社もSaaSを準備していたんですね。その後、人事異動などもあって、結構大変だったでしょう? 今はどんな状況ですか?

加藤さん:システムの操作に習熟していく段階ですね。システムからExcelで出力したものを修正して、システムの一括更新機能を使って上書き修正をする…という流れで、移行データのチェックも実施しています。

-全データをExcel上で見直すとなると、件数も多いし、大変そうですね。

加藤さん:そうですね、みんなで手分けしてやっていますよ。3月中には完了して、4月からはシステムを使った調査や展示の企画など、いろんな側面で利用する予定です。順調と言っていいと思いますよ。

-とても計画的に進めていらっしゃるように感じます。もう少し詳しくお聞かせください。


緑に映えるガラス張りのエントランス。緑に映えるガラス張りの
エントランス。

-改めて博物館システムに向き合う中で、特に注意すべきと感じた点はありますか?

加藤さん:まず、「この機能をこう使う」というビジョンを持つ必要があるでしょうね。「いろんな使い方があるだろうな」という姿勢では、システムは使われなくなって、単なるデータの保管場所になってしまいがちですよね。

-なるほど。データのチェックは、システムに慣れる練習でもあるわけですね。

加藤さん:ええ。使い方を熟知して、初めて応用法の発想が湧いてくるものだと思うんです。本格稼働の前にリテラシーが上がっていれば、使うことが自分の中で自然にルールになって、そのシステムの価値を最大限に引き出せるはずですし。

-なるほど…。そう言えば、機能についてあまりご存じでなくて、すごく遠回りの運用を余儀なくされていたという館は珍しくありません。「こういう機能があるんですよ」とご説明すると、驚かれることがよくあります。

加藤さん:使えば使うほど、そうしたことも少なくなるはずですよね。WordやExcelなら、慣れるほどにスキルが上がるという経験は、誰もが通る道ですよね。データベースシステムも同じだと思いますよ。

-弊社が操作説明会を開ければよいのですが、SaaSという仕組みではなかなか難しくて。ログインページに「かしこい使い方」というコーナーを設けているのですが、本当は、弊社が書くよりも、ご利用の皆様ご自身に情報を交換・共有していただきたいんですよ。

加藤さん:あのページは、私も参考にさせてもらっていますよ。使って、スキルが上がって、楽しくなってまた使う。そういった正のスパイラルと「業務と選択と集中」との相互作用の結果として業務が改善され、研究や企画、そして普及や渉外活動に情報システムが活用されることになります。そして、その活用情報がまた一元管理されていく…というのが理想的ですよね。

-素晴らしいですね。

加藤さん:いま、学芸員は雑務に追われ、多忙を極めています。来館者からの細かい問い合わせや要望のひとつひとつに丁寧に対応していますし、調査・研究にも熱心に取り組んでいます。私は、業務システムの担当として、少しでも彼らの負荷を軽くしてあげたいんですよ。より前向きな仕事ができる環境を用意してあげられればと願っています。

-それはそのまま、弊社の役割でもありますね。もうすぐ大規模な機能改善がありますので、ぜひご活用いただきたいです。

加藤さん:担当の方にお聞きしました。図書管理機能が付くんですってね。

-はい、そうなんです。ほかにも、資料情報の階層化のための機能や、画像登録機能の充実など、かなり多くの新機能をご用意しました。でも、あまり多機能すぎると、使う側にご負担をおかけすることにもなるのが悩みですね…。

加藤さん:そこは、私たちのスキルアップ度と新機能の追加ペースとのバランスだと思いますよ。スキルが上がったところに新しい機能を見つけると、使うのが楽しくなりますし。

-今度の新機能がお喜びいただけるとよいのですが。

加藤さん:私たちも自分なりの使い方をフィードバックして、利用館が一緒に発展していける環境が欲しいですよね。

-そんな潮流が生まれるよう、これから頑張ります。


ミュージアムまでの坂は、スロープカー「らくらく号」で。ミュージアムまでの坂は、
スロープカー「らくらく号」で。

-さて、先代のシステムの時代から、常に「インターネット公開」を視野に入れてこられたと伺っていますが、その点はいかがでしょう?

加藤さん:もちろん、その目標は変わりませんが、博物館の情報公開には責任が伴いますからね。まずはルールを決めて、それに則った管理体制を築くことが重要ですから、メタデータを含めたデータの完成度を上げることが現時点での課題ですね。

-なるほど。データの完成度とは、具体的には?

加藤さん:たとえば、展覧会で資料が使われる時、以前作ったキャプション等がデータに保存されていなくて、改めて書き直すようなデータ管理ではダメですね。過不足のない情報として成立していること。応用が利くデータになっていること。メタデータの相互運用性が高いこと等々ですね。また、外部に公開できるものかどうかをさらに精査したデータ…と、そんな感じでしょうか。

-かなり大変な作業ですね

加藤さん:ええ。御社の製品や担当の方の姿勢から感じられる「博物館をよりよくしたい」という熱意は、本当に嬉しく思っています。あとは使う側が、システムを業務の中で標準化できるかどうかがポイントになります。

-「導入後が重要」というお話は、各館でもよく伺います。

加藤さん:導入の時点では、稼働に必要となるスキルや労力が計算に入っていないことが多いのかも知れませんね。活用の前に諦めてしまって、システムは使われない、使われないから業務も軽くならない…という悪循環だけは避けるべき。だからこそ、まずは「使う」ことが大切だと思います。

-なるほど。弊社側でも、使いこなしていただけるまでのフォローについて、さらに工夫が必要ですね。今日は、お使いになるお立場からのご意見を伺えて、とても勉強になりました。本当にありがとうございました。

<取材年月:2012年2月>

MUSEUM PROFILE

岐阜県博物館
岐阜県百年公園内に建つ総合博物館。地質・化石・動植物などをテーマ別に展示する「自然展示室」、遺跡の出土品から近代までの歴史資料、能面・文楽人形・書画・刀剣・陶磁器などを展示する「人文展示室」、県民や県ゆかりの方のコレクションを展示するマイミュージアムギャラリーがあります。里山ウォッチングやイラスト講座、古文書講座など催しも活発で、子どもたちにも大人気。また、百年公園内ではサイクリングやテニスのほか、春には桜も楽しめます。家族でゆっくり訪れたい魅力的な博物館です。
ホームページ : http://www.gifu-kenpaku.jp/
〒501-3941 岐阜県関市小屋名小洞1989 岐阜県百年公園内
TEL:0575-28-3111
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