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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

システム導入の一歩は、まず行動してみること。
きっと良いことがたくさんありますよ。
文化課 主査  吉田 陽一 さん
文化課 主査  吉田 陽一 さん

-今年からI.B.MUSEUM SaaS のご利用を開始されました。震災、原発事故と続いた中、よくここまで辿り着かれましたね。本当に頭が下がります。

吉田さん:ありがとうございます。震災直後は被害の調査や避難所の対応業務などがありましたので、予定を延期することも考えたんですよ。もちろん、個人的にも精神的なショックがありましたし、その後の状況の厳しさも身に染みていましたので、「いまシステム導入を実施すべきなのか」という葛藤がありました。

-平常時でも大変なことなのに、被災の中でのことですから、お察しいたします。避難自治体の受け入れなども大変だったでしょう?

吉田さん:そうですね。でも、二本松市の地震被害は、県内の他市町村ほど甚大ではなかったですからね。避難所対応業務も体制づくりが想像よりはスムーズに進んで、通常業務に戻れるのが早かったことも幸いしました。

-あらゆる面で大変な打撃を受けられたのに、いち早く「普通に機能する」状態に戻られたご様子を見ると、私たちが逆に勇気づけられます。

吉田さん:「やらなければ」という前向きな気持ちになれたことも大きかったのでしょうね。だからこそ、システム導入も1ヶ月遅れましたが実施に漕ぎ着けられたのかなと思っています。上司や同僚も重要性を認識していましたしね。

-本当に頭が下がります。では、「普通に」インタビューに入らせていただきますね。


多彩な資料が揃う二本松市歴史資料館

-まず、文化財のデータベースを作る事業に着手されたきっかけから教えてください。

吉田さん:平成20年頃に市民から、もともと市が所有する美術品の一部を公開していた当市のIT美術館を「グレードアップしてみてはどうか」という要望が出たんです。それを受けて、前向きに検討しようという話になりました。

-平成20年というと、ちょっと前になりますね。

吉田さん:ええ。ちょうど歴史資料館の立ち上げ当時を知る上司の退職も近づいていた頃ですし、「データベースの構築を急がなければ」と思って検討してはいたのですが、地元の業者さんに伺ったところ莫大な費用がかかることが分かって。

-そこでI.B.MUSEUM SaaSが登場するわけですね。

吉田さん:そうなんですよ。ちょうど良いタイミングで、御社からの案内が届いたので、コンタクトを取らせていただいたんです。

-SaaSにはインターネット公開機能も含まれていますから、IT美術館のパワーアップにも貢献できそうですね。

吉田さん:その通りです。データベースを構築するのと、データを公開することができて「月額3万円」と書かれていたので、それなら当市でもできると思いまして。

-当時のデータはどんな状態だったのですか?

吉田さん:当市は4つの市町村が合併して生まれたのですが、たとえば私は旧二本松市の出身ではないので、「合併した旧市町の資料が分からない」という状態でした。ですから、詳しく知る職員の退職にも備えて、みんなが把握できるデータベースを作るのが目標になったんです。

-それで、緊急雇用対策事業を活用して、一気に整備を進められたわけですね。システムの比較検討はされましたか?

吉田さん:ええ、もちろん。探してはみたのですが、何しろこの金額ですからね。条件を満たす選択肢は、やはり早稲田さんだけでした。

-実際に導入してみてのご感想はいかがです? 分野や入力項目の設定で迷ったりされませんでしたか?

吉田さん:営業の方に細かく教えていただいたので、特に問題はなかったですよ。あとは、緊急雇用で採用されたスタッフが使いこなしてくれています。

-そういえば、当初は不具合が出てご迷惑をおかけしたこともありましたね。その節は申し訳ありませんでした。

吉田さん:いえいえ、すぐ対処していただきましたから。ただ、現場では機能の面でいくつか要望があるようです。

-と仰いますと?

吉田さん:たとえば、Excelからの一括登録の機能がありますよね。あれは本当に助かっているのですが、誤って二重に登録してしまって、重複データが大量に出たんです。一括で削除できるとよいのですが。

-一括削除は、間違って大量に削除してしまうことがあるので、あえて実装していないのですが、そういう場合の対応も考えた方がよさそうですね。他には何かございますか?

吉田さん:人物・名簿の管理機能なのですが、資料の情報と同じように検索画面から始まりますよね。私どもの管理データは人物情報がそれほど多くないので、一覧から始まってくれるとよいのですが。

-作家や寄贈者、他の博物館など多様な「名前」の中から必要な情報にすぐに辿り着くための機能なのですが、必要がない場合はかえって妨げになるんですね。

吉田さん:なるほど、名簿が増えた時に生きてくる機能なら、そのままの方がよいかもしれませんね(笑)。あと、人物の詳細情報の画面にも、資料情報と同じように右側にタブがあるといいですね。関連資料とか参考文献とか、紐づけたい情報もありますし。

-それはいいですね! さっそく検討してみます。使い込んでいただいているので、ご意見も大変参考になります。

吉田さん:こちらこそ頻繁に電話で問い合わせて、申し訳ないくらいです。

-SaaSのご導入は、仕様の打ち合わせがありませんからね。お電話いただくとこちらも改善のヒントがいただけるので、むしろ助かっているんですよ。ユーザ数が増えないうちに、どんどんご質問ください(笑)。


教育委員会が入っている市庁舎

-緊急雇用のデータ整備事業ですが、どのくらい進んでいますか?

吉田さん:「六合目」くらいでしょうかね。頂上の「インターネット公開の実現」までは、もう少しかかりそうです。

-でも、データの登録は順調そうですね。画像登録などは?

吉田さん:撮影に時間がかかりますからね。1点ずつ実物に当たりながらの作業ですし、もともと登録する収蔵資料点数は3,400点だったのですが、その他に1,000点以上の寄託資料があって、登録対象にしたり。

-資料の内容や状態によっては分けて登録しなければなりませんしね。

吉田さん:そうなんです。結局5,000点ほどになりそうですね。この事業は年度末でいったん区切りを迎えますから、その時までに情報をきちんと入力して、公開の実現を成し遂げたいと思います。

-素晴らしいですね。緊急雇用対策事業は、いま各地で行われているようですが、現在検討中の方にアドバイスがあればお願いします。

吉田さん:個人的な感想になってしまいますが、振り返ってみると「行動してみてよかった」と感じますね。地元の方に就業機会を提供できたし、その方々も地元の歴史や文化について触れる機会になりますから、互いにいいことがたくさんありますよ。

-震災という大変な出来事の後に進めてこられただけに、本当に重みがあります。私たちもできる限りのサポートをさせていただきます。本日はありがとうございました。

<取材年月:2011年11月>

MUSEUM PROFILE

二本松市教育委員会
『智恵子抄』に詠われた安達太良山と阿武隈川で知られる二本松市。国指定史跡二本松城跡大手門付近にある二本松市歴史資料館は、昭和53年11月に開館。市にゆかりのある美術品、市内出土考古資料、中世から近世にいたる歴史資料を収蔵展示しています。また、駅前の市民交流センターの3階にある大山忠作美術館は、平成21年10月に開館。二本松市出身で現代日本画壇の重鎮である大山画伯から二本松市へ寄贈された169点にも及ぶ作品を中心に収蔵・展示しています。そのほか、智恵子記念館、地域文化伝承館といった個性豊かな文化施設が。また、『二本松市IT美術館』では、インターネットでゆかりの作家の作品を鑑賞することができます。

二本松市ホームページ:http://www.city.nihonmatsu.lg.jp/index-1.html
大山忠作美術館   :http://www.city.nihonmatsu.lg.jp/oyama/index.html
二本松IT美術館  :http://www.city.nihonmatsu.lg.jp/museum/index.html

〒964-8601 福島県二本松市金色403番地1
教育委員会文化課 TEL:0243-55-5154
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