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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

システム導入前の「資料の整備」こそ、実は最も大変な作業。
事前準備を怠らないことが、上手な導入のコツだと思います。
学芸員・主査 前田 徹さん
学芸員・主査 前田 徹さん

-私は兵庫県の出身でして、ここ姫路城には小学生のころはよく来たんですよ。姫路城は何度もスケッチしました。インタビューも早くお邪魔したかったんです。まずは、導入前の状況からお聞かせいただけますか。

前田さん:Accessで作ったデータベースがあったのですが、行政事務上で必要なリストを管理する程度のものでした。本当に基本的な情報は入っていましたが、学芸業務で使うレベルの詳細な情報は、各分野の担当者が自分で把握しているという状況でしたね。情報共有は、館の長年の課題だったんです。

-最近は職員も減ってきていますし、年中無休の館も増えてきましたから、情報共有に苦しんでおられるケースは多いんですよ。

前田さん:Accessの前には、ワープロで一覧表を作っていたこともありました。単純なリストですから、古文書などは「一山で1点」という管理方法でね。きちんとしたデータベースを作るべきだという問題意識は10年くらい持ち続けていましたよ。

-導入のきっかけは、展示工事だったと聞いていますが、当時、他のシステムと比較はされましたか?

前田さん:前任者が早稲田さんからI.B.MUSEUMの資料をいただいて、「こういうのがあったらいいな」と思っていたようですよ。もちろん比較検討はしたらしいのですが、展示会社さんも勧めてくださったとのことで、割とすんなり決まったようですね。

-なるほど(弊社の資料もなかなか役に立っているのか…)。


白を貴重に、堂々とした建物です。

-10年来の念願がかなってのシステム導入ですよね。きっと、仕様の打合せにも熱が入ったんでしょうね。

前田さん:ええ、活気がありましたよ。資料にかかわるすべての作業にデータベースを使いたいという理想を掲げて臨みましたからね。いろんなお願いをぶつけましたから、SEさんも大変だったんじゃないですかね(笑)。

-打ち合わせ期間も、かなり長く取られていましたもんね。スケジュールだけ見ると、弊社側でご希望をまとめ切れていないのではないかと心配していたのですが。

前田さん:いえ、そんなことはないですよ。あの時は、展示工事の打ち合わせがメインでしたからね。それと、県の機関としての行政事務を盛り込む必要がありましたので、博物館に詳しい御社のSEの方も大変だったと思いますよ。

-確かにそうかも知れませんね。弊社は、設立から15年間、博物館のシステム構築業務ばかり行ってきましたから、学芸業務には少し詳しいつもりなのですが…。

前田さん:行政事務はまた別物ですからね。

-はい。でも、会社としてももっとノウハウを吸収していきたい分野ですから、良い経験をさせていただきました。さて、そんな経緯で完成したシステムなのですが、使ってみてのご感想はいかがですか?

前田さん:正直なところ、「ちょっと作りすぎたかな」という印象ですね。「この業務には、このウインドウを開いて…」といった感じで、作業内容に合わせていろんな機能を設けてもらったんですが、まだ使いこなせていない部分もありまして。

-な、何かシステム上の欠陥が…?

前田さん:いや、早稲田さんの問題ではなくて、県のルールの問題なんです。私たち職員の端末は県のネットワークに組み込まれているのですが、そこに収蔵品のデータベースをつなぐことが許されていないんです。

-ということは、I.B.MUSEUMは専用端末でお使いなのですね?

前田さん:そうなんです。2台用意されていますから、ものすごく大きな問題というわけではないんですけどね。。

-でも、皆さんのお席で収蔵品データが閲覧できたほうが、効率は上がりますよね。業務フローとの連動性を強く意識しておられる分、ちょっと残念な気がします。

前田さん:そうですね。私もそう思います。

-では、作業される時は、Excelに出力したデータを各自が端末に流し込んで、加工したら一括でI.B.MUSEUMに戻す…といった作業を行っておられるのですか?

前田さん:その通りです。席にあるパソコンとI.B.MUSEUMは文字コードが違いますから、ちょっと手間がかかるんですよ。

-もう少しご負担を軽くしたいところですね。一括登録に関連するご要望はほかの館でもお聞きしますから、早く解決したいですね。

前田さん:入力画面まで作りこんでいただいたので、申し訳ないんですけどね。でも、たとえば図書情報も、受入手続きで出来上がってくるデータをそのままI.B.MUSEUMに流せるようなワークフローを作り上げましたから、今は少し馴染んできたんですよ。

-カード式の画面で1件ずつ入れるより、リストを一気に流し込むケースのほうが多いのであれば、将来的には改善を検討しなければなりませんね…。こうしたご指摘の後なのでお尋ねしにくいのですが、I.B.MUSEUMは100点満点で何点くらいいただけますか?

前田さん: 80点くらいかな? いまは問題点だけお話ししましたが、お陰様で、導入前に比べて大きく前進していますしね。

-ありがとうございます。課題だった「情報共有化」には、お役に立てたのですね。

前田さん:もちろんですよ。I.B.MUSEUMは「正式なデータをためておく場所」という認識も共有できていますよ。すべての機能を完全に使いこなしているわけではないですが、少なくともマスターデータとしては館の管理方法を確立することができました。

-喜ばしいお話なのですが…もっとお役に立てますよね…。

前田さん:たとえば、システム活用法の指導を早稲田さんにお願いしてみるのも良いかもしれませんね。県のシステム導入のときは、丸1日つきっきりの講習がありましたから。そこまでお願いするのはどうか、という気もしますけど(笑)。

-いえ、良いご意見かもしれません。この業界で、そこまでフォローできているという話は聞きませんから。貴重なヒントをありがとうございます、前向きに検討してみますね。


博物館の前からは、
姫路城の美しい姿が望めます。

-では、今後の構想などをお聞かせいただけますでしょうか。

前田さん:共有データベースが出来上がったので、今度は外に向けて発信できるようにしたいですね。I.B.MUSEUMの導入は、県民との情報共有の出発点という意味もありますし。もちろん、予算の都合もあるんですけどね。

-インターネットでの情報公開は、地域文化の維持や育成の面でも意義のあることですし、何とか実現できるように、環境が整うとよいですね。では、これから導入を検討される館の方へ、アドバイスをお願いします。

前田さん:システム導入では、その前の「資料の整備」が、実は一番大変だと思います。収蔵品管理システムは、平坦なリストでは管理が難しい関連データまで整理できる点が大きなメリットですから、それをフルに活かすためには、情報体系の整理などが欠かせません。事前準備を怠らないことが、システムを上手く活用するコツだと思いますよ。

-システム仕様の検討前からの準備、重要ですよね。今日は大変勉強になりました。お忙しいところ、ありがとうございました。
 

<取材年月:2009年2月>

MUSEUM PROFILE

兵庫県立歴史博物館
姫路城の北東に位置する立地を活かして、大きな窓ガラスにお城が映るように建てられた博物館。「白鷺城」とも呼ばれる姫路城とフィットする白い石垣が目を引きます。県内各地の小学校では遠足コースとしてもお馴染みの存在で、館長自らが講師を務めるサマースクールをはじめ、イベントも盛りだくさん。充実した図書を備える情報資料室や、実際に触って学ぶことができる歴史工房など、兵庫の歴史を五感で学べる工夫が随所に凝らされており、大人だけでなく楽しげな子どもたちの姿がよく似合う地域に根差した博物館です。
ホームページ : http://www.hyogo-c.ed.jp/~rekihaku-bo/index.html
〒670-0012 兵庫県姫路市本町68番地
TEL:079-288-9011
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