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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

みんながデータベースを使いこなせるようになれば
博物館の可能性も無限に広がっていくはずです。
学芸員  栗原 雅也 さん
学芸員  栗原 雅也 さん

−今日は小学生の団体が来ていますね。蜆塚遺跡が隣接していますし、子どもたちの校外学習には最高の施設だと思います。

栗原さん:ありがとうございます。

−近所にこういう館がある学校は、恵まれていますよね。

栗原さん:そうしたお声はよく耳にしますので、当館でも学校移動博物館を展開しているんですよ。始めたのが1994年ですから、もう15年以上になる計算になりますね。

−学芸員の皆さんもとてもお忙しそうですが、そうした積極的な活動の中でシステムを導入する仕事は、さぞ大変だったでしょうね。まずは、導入当時の様子からお聞かせいただけますか?

栗原さん:浜松市は2005年7月に12市町村で合併を果たしましたが、それに伴って博物館施設が14館になりましてね。専門職員がいない小さい施設が多くて、当時はシステムを入れるどころの話ではありませんでした。

−管理しなければならない資料の点数も急増したでしょうね。

栗原さん:ええ、資料は16万点ほどになりますね。

−晴れて政令指定都市になったわけですが、変革期はお忙しかったですよね? それでもシステム導入に踏み切った理由は?
 

栗原さん:合併当時、私は旧細江町の館にいて、6千数百点のデータをファイルメーカで管理していました。行政的に考えれば市町村合併に伴う整備再編は当然のことで、学芸員の側から見ても資料を把握して使いこなすことは必須です。いずれにしても、合併する以上は情報もきちんとした形に整えないと、将来的に問題が発生するのではないかという危機感はありました。

−情報整備の必要性について、行政、学芸両面の認識が一致して高まった段階でのシステム導入だったわけですね。

栗原さん:そうですね。それに加えて、データベースを整備することができれば外部への発信も可能になるという発展形も見えましたしね。

−ご多忙の中でも前向きなエネルギーを発揮されていたんですね。素晴らしいと思います。


 

道路に面した印象的な看板。
期待が高まります。

−実は、システムのご導入を検討される際、弊社のプレゼンテーションを担当したのは私でして…。背景を知らずに提案したものですから、見当違いになることも覚悟していたと言うか…今思うと少し恥ずかしい気がします。

栗原さん:それ、プロポーザルは私が担当したんですよ(笑)。評価は市の役職者を中心としたメンバーでしたが、きっと市の要望をよく理解したご提案だったのでしょう。

−ありがとうございます。実際のシステム構築段階はいかがでしたか?

栗原さん:私は何も分からない状態だったので、御社のSEの方がよくリードしてくださったという印象が強いですね。絞り込み検索の充実とか、いま思うと相当無理を申し上げたと思いますけど(笑)。

−それは担当SEも喜びます。出来上がったシステムはいかがでしょうか。

栗原さん:他の館からも指摘があるようですが、Excelからの一括登録の操作方法やメニューボタンまわりが少し分かりにくいですね。あとは、写真の登録が1点ずつになるのが面倒だったり…。

−私を筆頭に、弊社はちょっと気配りが足りないんです…。改善に努めます。

栗原さん:いえ、でも、その他は特に問題ありませんでしたよ。全体としてそれほど難しいとは感じませんでしたし。

−でも、未登録データを大量にお持ちなんですよね? 基礎的な情報を登録するならExcelで一気に作る方が早いですから、一括登録機能は必須ですよね?

栗原さん:確かに欲しい機能ですが、その半面、1点ずつの登録のほうが分かりやすいという側面もありますしね。

−なるほど、一長一短あり…と(メモ)。

栗原さん:それに、複製入力機能も使えますからね。実は、私より非常勤スタッフたちが熱心に勉強しているんですよ。自分たちでマニュアルを読み込んで、「そういう機能がありますよ」と教えてくれたくらいで(笑)。

−そうなんですか。使い方をマスターする意欲がおありなら、きっと大丈夫でしょう。では、登録点数もかなり増えましたか?

栗原さん:ええ、非公開の資料も含めると18,200点ほどの登録が終わりました。これからも、受入情報をもとに整えていくつもりです。

-モチベーションも含めて素晴らしい運用状況ですね。弊社も頑張らないと。



隣接する蜆塚遺跡。
縄文時代の復元家屋です。


−これからシステムの導入を検討される館に向けて、先輩館としてのアドバイスをお聞かせ願えますか?

栗原さん:そうですね…。当館では熱心に登録してくれる人材を確保できましたが、それでも手間がかかることには変わりありません。労力配分をコントロールするマネジメントが重要かも知れませんね。

−いま、14館分の資料に取り組んでおられるわけですからね。それは大変だ…。

栗原さん:そうなんです。14館の状態がまちまちなので、館ごとに現状を把握して方針や計画を立てないと、なかなか難しい面がありますね。

−弊社もできる限りサポートできるよう頑張ります。では最後に、今後の展望についてお聞かせください。

栗原さん:まずは、資料データの公開ですね。同時に、近隣の大学と一緒に情報発信手法について研究していきたいと思っています。特に携帯端末や動画を活用する「新しい博物館」の活動への準備は、業務の中でも常に意識しています。

−iPadをはじめ、新しいデバイスは次々と出てきますからね。

栗原さん:それともうひとつ、やはり検索機能を強化していきたいと思っています。たとえば学校の先生なら自分の校区に関係する資料を探したいと思うでしょうから、関連情報も随時蓄積して提供できるようにならないと。浜松市版「文化遺産オンライン」のような感じでしょうか。

−デジタル化が進めば可能性が広がるということですね。

栗原さん:ええ。私は以前、それを実感した経験がありましてね。

−ほう? それはどんなことですか?

栗原さん:ファイルメーカでデータを作っていた頃、アルバイトの職員に「好きなテーマで検索して、結果に合わせて資料を並べてみて」と頼んだことがあったんです。そうしたら、そのまま小企画展のプランとして使えるレベルのものが出来上がってしまいまして(笑)。

−それはすごい。

栗原さん:みんながデータベースを使いこなすと、可能性は大きくなるんだなあ、と実感しました。だから当館も、まだまだ可能性にチャレンジしていきたいと思っているんですよ。

-本当に前向きですね。いまは厳しい時代ですが、現在の努力と将来のビジョンが噛み合っていて、私にとっても本当に勉強になります。お忙しい中、いいお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
 

<取材年月:2010年10月>

MUSEUM PROFILE

浜松市博物館
浜松市西部、蜆塚遺跡に隣接する博物館です。古代から近現代に至る市の歴史を紹介する常設展や企画展、充実した博物館講座のほか、子ども向けの体験学習など地域サービスにも積極的。当時の貝塚や復元家屋が見学できる蜆塚遺跡は、浜松の歴史を楽しく学べる場として定評があり、近隣県など遠方から訪れる人の姿も絶えません。学校移動博物館などのアウトリーチ活動も活発。ポジティブなパワーで地域を引っ張るミュージアムです。
ホームページ : http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/hamahaku/
〒432-8018 静岡県浜松市中区蜆塚四丁目22番1号
TEL:053-456-2208  FAX:053-456-2275
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