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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

導入までは大変だけど、乗り切るまでの苦労と割り切るべき。
「システムだからできる」ことがたくさんあるのですから。
専門学芸員 加藤 俊明さん
専門学芸員 加藤 俊明さん

-ホームページを拝見しましたが、収蔵作品のポストカードが注文できたり、図録が購入できたりと、充実していますね。2001年10月の開館とのことですが、短期間でここまで完成されたのは、もともと知識をお持ちだったのですか?

加藤さん:いいえ、全く逆です。当時は「パソコンってなにができるの?」というレベルでした。なにしろ、「なぜ美術館に情報システムがいるのか」さえ理解できませんでしたから(笑)。

-本当に初心者さんだったのですね(笑)。収蔵品管理システム、難しくありませんでした?

加藤さん:全体のシステム設計をNTT東日本さんにお願いしていたんですが、分かりやすく説明してくださいましてね。管理システムの業者さんを5社くらい集めて、デモを実施してくださったんです。

-その中に、当社も入れていただいたわけですね。

加藤さん:そうです。画像取り込み機能が欲しいとは思っていたんですが、それ以外のことはよく分からなくて。最終的にはNTT東日本さんが、I.B.MUSEUMをベースに構築する方向を決めてくださいました。実績面、特にカスタマイズの柔軟性に着目されたようですよ。

-I.B.MUSEUMの導入が決まってから、開館までの様子をお聞かせください。

加藤さん:とにかく、時間との戦いでしたねぇ。システム設計会社さんのおかげで、基本設計は早くまとまったのですが、その先の細かい詰めの部分では、課題が山積みで大変でした。

-開館準備となると、情報システム以外にもやることは山ほどありますよね。

加藤さん:本当に大変でした。ひどい時は、工事の関係で準備作業の場所すらなくなったことがあるんですよ。仕方がないので、近所に住む職員の自宅にみんなで集まって、休日返上で確認作業をしました。

-秋の開館ですから、その年は夏休みなしだったわけですね。では、準備しながら知識を習得されて、ホームページも開館に間に合わされた、と。

加藤さん:そうですね。当館は交通の便があまり良くありませんから、頻繁に足を運べない方に対してのサービスは開館前から重視していました。Webサイトの整備は必須でしたね。


青空と紅葉に映える西側エントランス。

-激動の開館準備を乗り切られて、I.B.MUSEUMはお役に立ちましたか?

加藤さん:おかげさまで。特に、収蔵品管理作業として整理したデータが、自動的にホームページに反映される機能は、本当に助かっています。あれがなかったら、二重作業をやることになっていましたから。考えただけで寒気がします(笑)。

-それは何よりでした。逆に、マイナス点は?

加藤さん:細かいところですが、入力できる文字数に制限があることですね(注:I.B.MUSEUM2005では改善されています)。それから、インポート/エクスポート機能が少し使いにくいかな?

-と仰いますと?

加藤さん:ワードやエクセルと互換性があるのは良いのですが、コンピュータが苦手な人でもスイスイ使えるようなイメージではないですよね。インターフェイスは一考の余地ありか、と。

-苦手な人への気配り、ですね。確かに必要ですね。

加藤さん:要するに、私たちが「ズブの素人」だということなんですけどね。業界用語も知りませんから、たとえば、公開フラグ(情報をWeb上に公開するか否かを決める機能)という言葉も、「公開可否」に変えてくださいとお願いしたくらいですし(笑)。

-なるほど、勉強になります。では、導入前の期待値を100とすると、実際に使ってみての感触は難点くらいでしょうか?

加藤さん:90点くらいですね。

-ありがとうございます。マイナスの10点は「ユーザビリティ」の問題ですね。改善を目指します。それ以外に、今後のI.B.MUSEUMに期待されるところはありますか?

加藤さん:ウチの場合、情報の保全を重視して、今のシステムは書き込みができる職員を制限する機能を付けてもらったんですが、みんなが気づいたことを書き込めるような機能があるといいですね。作品情報は「カルテ」みたいなものですから。

-担当医が代わっても、同じカルテにその時々の状態を書き足していくようなイメージですか?

加藤さん:そうです。現在は、論文などで発表された公式の情報しか書き込めないんです。情報の精度は高いのですが、たとえば「右上に小さな傷を発見しました」というようなメモを次々と書き足していける専用欄があってもいいかな、と。こういう話も「作品の情報」ですからね。

-なるほど。いいヒントをいただきました。当社でも研究してみます。


東側エントランスは背景に美しい岩手山
が見えました。

-パソコン初心者だった加藤さんですが、情報システム導入の分野では、すでに「先輩」となられたわけです。これから情報システムを導入される館の方々に、アドバイスはありますか?

加藤さん:導入までは本当に大変ですけど、それは避けられないものと割り切ることだと思います。大変な時期を乗り切れば、システムが入ったからこそできることはたくさんありますよ。

-「システムが入ったからこそできること」を、具体的にひとつ挙げていただけますか?

加藤さん:たとえば検索機能ひとつを取ってもそうですよね。展示替えなどで、あるテーマに基づいて作品を選ぶとき、あっという間に該当する作品が出てきます。

-それを、紙の台帳で一枚一枚探していたら……。

加藤さん:1日が終わってしまいます(笑)。次の仕事なんて、できませんよね。システムで抽出の手間を省いたら、効果的な展示方法などを検討する時間が寄り多く取れるようになるわけです。今後は電子化は必須ですよ。

-常に先を見ていらっしゃるあたり、さすがだと思います。私も、今日は大変勉強になりました。ありがとうございました。
 

<取材年月:2005年11月>

MUSEUM PROFILE

岩手県立美術館
岩手山を望む広大な公園に位置し、コンクリート打ち放しの外観がモダンな美術館。内装もモノトーンを基調にシックにまとめられており、郷土作家の作品を中心に知的な空間が構築されています。インタビュー当日は「ルオー展」の開催日でしたが、併設のレストランではそれに因んだランチも。創意と工夫でも楽しませてくれる美術館です。
ホームページ : http://www.ima.or.jp/index.html
〒020-0866 岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
TEL:019-658-1711
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