HOME > Voice & Report TOP > ミュージアムインタビュー TOP > vol.46 浜田市立石正美術館

収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

地域文化の拠点だったかつての教会のように、
美術館も地元の方々の心を支える存在であるべき。
学芸員 丸山 智さん
学芸員 丸山 智さん

-石正美術館さんは、開館前からI.B.MUSEUMをご利用いただいていたそうですね。

丸山さん:そうなんですよ。2001年の開館の前年に導入しまして。開館の際に作品の寄贈を受けた時、今後はシステムでの管理が必須の時代になる、ということで。

-ということは、紙のカードや汎用の表計算ソフトなどを経ず、最初からシステムをお使いなんですね。導入の際、ソフトウェアを比較検討されましたか?

丸山さん:ええ。複数社のシステムを比べましたよ。御社のシステムは近隣の館で導入されていて、実際に見せていただきました。使い勝手が良さそうでしたね。

-最近は、コストを少しでも節減しようという館が多いですよね。そのあたりは?

丸山さん:最初にご提示いただいた値段は、当館の予算規模に比べて高かったですよ。でも、スタンダードな機能を織り込むなどの工夫も凝らしてくださいましたから。

-なるほど。導入決定まではとてもスムーズに思いますが、その後の打ち合わせや開発、納品にかけてはいかがでしたか?

丸山さん:それも問題なかったですね。システムが入った後は、たとえば画像付きの目録も簡単に印刷できるようになって、仕事が円滑になりました。毎年、寄贈で増えていく作品も、おかげさまでスムーズに受け入れることができます。

-受入の部分でシステムをお使いいただくと、それ以後も使い続けていただける確率が高いようですね。順調にスタートを切っていただいたようで、嬉しい限りです。


教会風の印象的な建物です。

-とは言え、ここを直してほしい、というところもあったのでは?

丸山さん:そうそう、最初はデスクトップに入れていたシステムを、ノートパソコンに移していただいたんですけどね。収蔵庫の中に持ち込んで入力ができるようになったんです。これは助かりましたねえ。

-それは何よりです。で、問題点はありませんでした?

丸山さん:私はパソコンが得意ではなくて、システムもアナログ的な使い方をしてしまうんですよね。I.B.MUSEUMから画像をプリントアウトして、机の上に並べて展示のイメージを膨らませたり。こういう使い方も便利ですよね。

-なるほど、現実的な活用法ですよね。参考になります。それで…あの、システム及び弊社に対する問題のご指摘のほうは…?

丸山さん:実は思い当たらないんですよね(笑)。もう少し細かい情報の入力が要るとか、私自身の課題はありますけど。

-本当に? では、100点満点で言うと…?

丸山さん:そうですねえ。イメージとしては70点くらいですか? というと、減点の内容を考えなければなりませんね(笑)。あっ、そうそう。

-何でしょう。ぜひお聞かせ下さい。

丸山さん:旧字があまり使えない点は減点対象かな。ワープロソフトでは表示されるのに、I.B.MUSEUMでは出ないというケースがありまして。これは不便ですね。

-申し訳ございません。実は、現在のバージョンでは解決されていまして。何か対応方法があるかどうか、技術者に確認しておきます。で、他には?

丸山さん:あとは本当に細かいところですよ。宛名ラベルの書式が特殊で文房具店で探すのが大変だとか、市町村合併での住所の変更が一括でできるといいな、とか。

-なるほど、なるほど(メモメモ)。

丸山さん:うちは名簿周りには力を入れていますからね。以前、来館された方に芳名帳を書いていただいていたのですが、それを全部入力していたんですよ。ご在住地域の分析や、ご案内の送付にも便利ですからね。今は手が回っていませんけど。

-それはすばらしい試みですね。ぜひ復活させていただきたいと思います。弊社も技術的なサポートを可能な限りさせていただきます。…他には?

丸山さん:あとは、I.B.MUSEUMの図書管理の話ですが、ゆくゆくは図書館のデータベースと繋げられるように、項目を図書館の分類法に合わせられるようにして欲しいですね。それから、寄託と収蔵を分けて入力できるようにしておけばよかったなと思う時があります。

-ね。結構出てくるものでしょう?(笑)

丸山さん:確かに。でも、このあたりの要望は、使い始めた後に気づいたことなので。SEさんはよくやってくださいましたから、不満というわけではないんですよね。

-お気遣いありがとうございます。気遣いといえば、こちらは利用者の皆さんへの配慮が行き届いていますね。ホームページを拝見してもそう感じますし、先ほどの芳名帳の話も。そのあたり、ぜひ詳しく教えてください。


南欧の「パティオ」のような中庭です。

-学芸員さんのブログを読みましたが、利用者の方や地域への思いがにじみ出ていますよね。今日も、駅から歩いてきたんですが、「美術館はどこですか?」と聞くと皆さんとても親切で。きっと地域の人にも愛されている館なんだな、と感じました。

丸山さん: それは嬉しいですね。実は当館のホームページは、美術館サポーターの方が手弁当で作ってくださったんですよ。

-それはすごい。ありがたいことですね。

丸山さん:そうなんです。それに地元の方々は当館のことを「うちの美術館」と呼んでくださるんですよ。文化はその地域に生まれて育っていくものだと思いますから、私たちのような施設が地元の方にそう呼ばれるのは、本当に嬉しいことです。

-素晴らしいですね! そこまで地域に根ざした施設を作り上げるのには、何か特別な方法があったんですか?

丸山さん:「地方にこそ本物の文化が生まれる」という石本正の信念に学んだことが大きいですね。先生は、地域それぞれの教会を中心に文化が栄えた中世ヨーロッパの姿を、街づくりの理想と考えておられるんです。教会は、表現豊かな壁画や彫刻といったロマネスク美術の拠点でもあったわけですしね。美術館も、そんな存在になりたいな、と。

-なるほど…実に明快ですね。具体的には、どんな工夫を?

丸山さん:たとえば、ご希望の方には私たち学芸員が必ず解説を担当しています。今では喋るのが仕事になってしまいましたね(笑)。お年寄りの方が、今度はお孫さんを連れてこられて、私の解説内容を自ら話しておられたり。

-とても素敵なお話ですね。弊社も、システムやインターネットを活用して後押しできる方法を考えて、提案させていただきたいと思います。

丸山さん:ぜひお願いしますね。

-システムの話を忘れていました(笑)。これから構築をお考えの方にアドバイスを。

丸山さん:導入時は、細かく比較してベストを選ぶことが大切だと思います。あとは、詳細な情報を面倒がらずに蓄積することですね。当館も、まだまだこれからです。

-弊社もできる限りのサポートをさせていただきます。本日は、私個人としても元気をいただいたような気がします。本当にありがとうございました。

 

<取材年月:2007年11月>

MUSEUM PROFILE

浜田市立石正美術館
地元出身の日本画家、石本正から作品の寄贈を受け、2001年に開館した美術館。建物の外観は、美術館というより南欧の郊外に佇む教会のようで、心を和ませてくれます。回廊で囲まれた中庭には、中央に枝垂桜が植えられ、鳥のさえずりが。遠方から訪れる来訪者には旅の心が癒されるような魅力が詰まった想い出の場所として、また地元の人には絵画教室や音楽会などさまざまな創作体験も提供してくれるコミュニティとして。作品を核に、地域に根ざし、人々に親しまれる美術館を…という石本正の願いが隅々に行き届いた、心温まる美術館です。
ホームページ : http://fish.miracle.ne.jp/sekisho/
〒699-3225 島根県浜田市三隅町古市場589
TEL:0855-32-4833
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