HOME > Voice & Report TOP > ミュージアムインタビュー TOP > vol.48 長谷寺宝物館

収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

すべての利用者のために、博物館の情報共有化を。
今後の業界の大きな課題だと感じています。
主任学芸員 三浦 浩樹さん
主任学芸員 三浦 浩樹さん

-長谷寺宝物館さんには、ずいぶん長くI.B.MUSEUMをお使いいただいていますね。導入当時のことを教えていただけますか?

三浦さん:私が奉職したのは8年前なのですが、その時にはすでに稼働していましたので、導入経緯はよく存じ上げないんです。そのうえ、前任者との引継ぎもなかったため、とにかく紙の台帳の内容を入力しながら触ってみるという感じでしたね。

-それは大変でしたね。当時の使い勝手などはいかがでしたか?

三浦さん:Windows95ベースで、その時点でかなり古くなっていましたから、なかなか大変でした。当館は小さいながら所蔵品の分野が多岐にわたるため、それぞれに必要な 項目も大きく違うのですが、当時の項目設定は幅が狭くて。入力をしようにも欄がない、ということがありましたね。画像の登録可能枚数も2枚までに限定されていましたし。

-ご不便をおかけしていていたようですね。

三浦さん:いえいえ。当時の環境ですし、こちらもそうお願いしていたのだと思いますよ。

-恐縮です。そして、2001年ごろにリニューアルされましたね。

三浦さん:はい。それまでの経験がありましたから、特に項目にはいろいろと希望させていただきました。かなり快適になったのですが、まだ少し…。

-新たな問題が発生してきたわけですね。ぜひお聞かせください。


平日でも観光客で賑わっていました。

-それで、具体的には、どんな問題が?

三浦さん:問題というほどでもないんですけどね。項目は事前に一生懸命考えたんですが、システムが完成した後に、追加や入れ替えが必要になってしまうんです。そんな時に対応できる自由度があると便利なのになあ、とは思いましたね。

-申し訳ありません。実は、新しいI.B.MUSEUMでは、自由に項目を追加できる仕様になっておりまして…。

三浦さん:ええ、お聞きましたよ。いい機能ですよね。現場では、どんなに万全を期したつもりでも、使い始めて「あっ、そうだ」なんてことがありますからね。

-結果的に、完全に解決できなかったわけですよね…。

三浦さん:いえいえ。今のシステムは、自分なりの希望を反映していただいたものですから、基本的に使い勝手は良好なんですよ。

-ありがとうございます。他に、何かお気付きの点はありますか?

三浦さん:そうですねえ。早稲田さんに関係ない話でもいいですか?

-結構ですよ。何なりと。

三浦さん:一時期、「全国の博物館の統合データベース」みたいな話題をよく耳にしたのですが、その後どうなったのかな、と。そういった「全国標準」があるならば、それに合わせた管理項目づくりをやりたかったんですが。当館のように小さな館では、自前でインターネットのサイトを運営するのも難しいですし。

-確かに、博物館データベースの標準化については、今でもさまざまな方法が検討されていますね。インターネットについては、「文化遺産オンライン」に登録すれば、データの公開も可能になると思いますよ。改めて資料をお送りしますね。

三浦さん:ありがとうございます。全国的に普及した共通の基盤があれば、情報を共有することも可能になりますよね。せっかく蓄積してきたデータベースですし、知的財産として活用していきたいですからね。

-仰る通りですね。弊社でもあれこれと考えている最中なのですが。

三浦さん:それから、先ほど教えていただいた「文化遺産オンライン」のような情報は、ぜひいただきたいです。当館は「横のつながり」も薄くて、いくつかの博物館さんに館蔵品をお貸しする程度に留まっているのが実情でして。

-そういえば、以前のインタビューでも、「I.B.MUSEUMユーザの会」を作ってみては、とのお話がありました。それにしても、独力でよくここまで完成されましたね。

三浦さん:まだまだですけどね。とにかく、項目の拾い上げに漏れがないよう気をつけました。入力を徹底しておけば、いずれデータを公開した時、自分で作った1枚1枚のカードがネットでも見られるようになるということですからね。

-それは面白い発想ですね。ところで、I.B.MUSEUMの課題についてですが、他には何かございませんか? オプション機能も含めて。

三浦さん:言われてみると、図書管理がもう少し充実していたら、とは思いますね。

-最近、スタッフに司書の方が加わったと仰っていましたね。

三浦さん:そうなんです。導入当時は図書のことまで手が回らなかったので気にならなかったのですが、司書担当が本格的に使い始めたら、物足りないかな、と。まあ、標準的な機能を入れてくださったのですから、仕方がありませんけどね。

-いえ、その「標準のもの」の完成度を上げるのが、弊社の課題ですから。参考になります。


大黒堂の右手に宝物館の
入り口があります。

-では、恒例の質問を。I.B.MUSEUMは、100点満点で何点いただけますか?

三浦さん:そうですねえ。ひとつ前のバージョンの話ということになってしまいますが、自由度の面で減点して、90点といったところでしょうか。

-図書管理の減点もあるのでは?

三浦さん:あ、そうですね(笑)。では、80点ということで。

-(あ、余計なことを言ってしまった…) ありがとうございます。それでは、これからシステムを導入される方に、何かアドバイスをお願いします。数々の不安をほぼ独力で乗り越えられた館ですから、参考にしていただけることも多いと思います。

三浦さん:そうですねえ。各館園それぞれが独自の管理方法によって資料整理を行っているはずですが、将来的には準拠すべきスタンダードというものがあってもいいはずで、そうしたことも意識しておく必要があるんじゃないかな、と思いますね。ご利用になる方々のための「情報の共有化」に向けて、私たちミュージアム関係者がもっと努力しなければ、と。これは私自身にも言えることなんですけどね。

-国民共有の財産をお持ちだけに、説得力がありますね。業界全体としても努力していきたいですよね。では最後に、将来に向けて、三浦さんご自身の構想などを。

三浦さん:まずは、来館者の方にご覧いただけるような館内端末を設置したいですね。 それから、インターネットでの情報公開ですね。今は当山全体としてのホームページに なっていますが、将来、宝物館の建物を再建することがあると思います。その時こそ、館としての情報発信が大々的にできるようになるといいなあと思っています。

-楽しみですね。ここまで着実に準備を進めてこられたので、きっとすばらしいものができると思いますよ。弊社もぜひお手伝いさせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

 

※ デジタルミュージアム推進協議会(現「地域文化デジタル化推進協議会」)によるデジタル・アーカイブ構想
 

 

<取材年月:2007年11月>

MUSEUM PROFILE

長谷寺宝物館
由比ガ浜の素晴らしい眺望のもと、四季折々の花々で目を楽しませてくれる長谷寺の境内。宝物館は、明治年間に開設された「宝物陳列所」を前身に、1980年4月に開館しました。第1展示室では梵鐘や板碑などの金石資料を、第2展示室では仏像彫刻をはじめ、懸仏(かけぼとけ)など仏教美術にかかわる美術工芸品、古文書や考古資料など多種多様な文化財を常設展示。市内に点在する観光地をひと回りした後、最後にここで歴史を学んでおさらいする観光客も多く、古都・鎌倉の魅力を体現する存在感たっぷりのテンプル・ミュージアムです。
ホームページ : http://www.hasedera.jp/03_houmotsu/index.html
〒248-0016 神奈川県鎌倉市長谷 3-11-2
TEL:0467-22-6300
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