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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

使ううちに、いろんなアイデアが湧いてくる。
それが業務改善につながるのだと思います。
学芸員  柏尾 沙織 さん
学芸員  柏尾 沙織 さん
 -柏尾さんは、今回のシステムのリニューアルでは中心的な役割を担っておられましたが、着任されてからはそんなに年数が経っていないんですよね。

柏尾さん:ええ。2012年の10月に来ましたから、まだ3年目ですね。


-その頃の作品データベースは、どんな状態でしたか?

柏尾さん:マスターとなる専用データベースと、FileMakerの両方で管理していました。これは今でもそうですね。


-なぜでしょう? 専用データベースは各自のパソコンでは使えないから、とか…?

柏尾さん:いえ、ちゃんとネットワークで使えましたよ。ただキャプション制作など日常業務を補う形で、FileMakerも使っています。


-なるほど、その他にはどんな使い分けを?

柏尾さん:シールラベルや配布資料の出力はFileMakerで、画像は専用データベースで、という感じでしょうか。ただ最近ではシステムが古くなり、専用データベースの方はアクセスもままならなくなっていました。


-役割分担ができている一方、OSなどがバージョンアップすると大変そうですね。

柏尾さん:そうなんです。一時は、一世代前のOSの仮想モードを立ち上げるような状況になって、困っていたんですよ。


-業者側も大変ですよね。サポートはNTTデータさんですよね。

柏尾さん:ええ。「I.B.MUSEUM にしませんか」と提案してくださったのも、NTTデータさんなんですよ。

-そうだったんですか! 私たちも感謝しなくちゃ…。


▲街中の美術館らしい、都会的なエントランス
-さて、導入決定後の打ち合わせには私も出させていただきましたが、実は一つ不思議に思っていたことがあるんです。

柏尾さん:どんなことでしょう?

-学芸員さんが何人もいらっしゃるのに、打ち合わせはいつも柏尾さんお一人でしたよね。普通はもっとたくさんの方が参加されるものなんですが。

柏尾さん:所蔵品のデータベースは、私に任せていただいてまして。

-すごいですね! 責任重大じゃないですか。

柏尾さん:私は三代目なのですが、当館は開館以来、担当を一人決めて、その人が一元管理するスタイルを続けてきたんです。データの更新はその担当者が一人で行なって、ほかの人は検索や閲覧だけ。こうすることで、データが乱れなくて済む、という考え方のようですね。

-なるほど…いや、しっかり考えられた業務フローだと思います。でも、作品が増える時の登録は、ひとりじゃ大変でしょう。

柏尾さん:あ、最初のデータは各自で作るんですよ。

-あ、FileMakerで。

柏尾さん:そうです。たとえば収集を審査する審査員会議がありますが、ここで了承を得たら、表記などを統一してデータベースへと移行します。ですので、完全に一人が登録するのではなく、元データは各自が作り、いったん館として決定した情報を変える時は、一人に任せるということですね。

-なるほど。ますますよくできた仕組みだと思います。その結果、今回のカスタマイズの打ち合わせも、柏尾さんお一人となったわけなんですね。

柏尾さん:そういうことですね。

-実際、作品カードなどいくつかのご要望があったわけですが、スムーズに進みましたか?

柏尾さん:ええ。特にインターネットで開発中のシステムにアクセスして確認できたのは、本当に良かったです。

-かなりカスタマイズがありましたもんね。

柏尾さん:ええ、どのタブの中にどの情報を置くかとか、細かく注文させていただきました。SEの方にはご迷惑をおかけしまして…。

-いえいえ、とんでもないですよ。お考えに近いシステムになりましたでしょうか。

柏尾さん:ええ、満足度はかなり高いと思います。納品される時には、すでに何度も操作した後ですから、すぐに慣れることができましたしね。

-実際に運用が始まってからは、いかがですか?

柏尾さん:本当に使いやすいと思います。前のシステムで不満だった点があらかじめ解決されていたりして。

-ほう? どんな部分でしょう?

柏尾さん:検索ひとつとっても、旧システムではぴったり一致しないとヒットしなかったんです。海外の作家さんは、たとえば名前をひとつの纏まりではなく、音節ごとに表記する場合があります。複数のパターンがあると、けっこうストレスがたまりますよね。

-完全一致の検索だと、何度も試さないといけなくなりますもんね。

柏尾さん:そうなんです。ですから、あいまいな検索ができるのは、すごく助かります。


-逆にご不満な点はありませんか?

柏尾さん:ん〜、日本語と英語を切り替えられると良かったですね。

-と仰いますと?

柏尾さん:当館のデータは、すべて英訳がついています。前のシステムは日英で画面を切り替えることができたのですが、I.B.MUSEUMでは同じ画面の中に併記することになりました。ここが「惜しい!」って感じかな。


-すべての項目が、日・英、日・英…と並んでいるんですね。それはちょっと見にくいかも。

柏尾さん:開発中に画面レイアウトの注文が多くなったのは、この点も影響しているかもしれませんね。ほかの美術館ではあまり重視しないのかな?

-これからの時代には必要な機能かもしれませんね。さっそく検討してみます。



▲リゾート地のような椅子が置かれたロビー
-実際にはまだ納品後3か月ですが、もう馴染んでいますか?

柏尾さん:そりゃもう(笑)。みんな使い始めましたよ。

-それは嬉しいですね(笑)。お仕事の流れの改善などにつながっていればよいのですが。

柏尾さん:それはあると思いますよ。たとえば、前のシステムは小さい画像しか登録できませんでしたが、I.B.MUSEUMは制限がないので、写真データの整理に役立ちそうだなと思っています。展覧会ごとの情報なんかも、チラシや展示風景の画像もありますし。

-ぜひいろいろと工夫してお使いいただきたいです。過去のデータまで登録できると使いやすくなりそうですね。

柏尾さん:そうなんですよね。私は着任から日が浅いので、けっこう分からないことがあったりしますからね。展覧会の写真がたくさんあっても、それが何なのかが分からなかったり。

-ほかの館でもよくうかがうお話ですね。

柏尾さん:ですから、使っていく中でいろんなアイデアが湧いてくるんじゃないかなあ、と思うんです。たとえば展覧会登録なら、今までは「終わった後」に記録として入力していましたが、これからは「始まる前」に入れて展示を組み立てるとか…。いろんな可能性がありますよね。

-なるほど。システムを使った業務改善は弊社の使命ですから、とても参考になります(メモ)。

柏尾さん:早稲田さんは、一緒に考えてくださるのでありがたいですよね。「こんなことできませんか?」という漠然とした話でも、気持ちよく相談に乗ってもらえますし。今後もよろしくお願いしますね。

-こちらこそ。ぜひご一緒に「新しい使い方」を編み出したいですね。本日は大変勉強になりました。ご多忙のところ、ありがとうございました。

 
 
<取材年月:2015年6月>

MUSEUM PROFILE

福岡アジア美術館
アジアの近現代の美術作品を系統的に収集し展示する世界に唯一の美術館。23の国と地域を対象とする、アジアの「いま」を生きる作家たちの作品を所蔵しています。個性的なのはコレクションだけでなく、アジアから作家や研究者を招く交流イベントなど、この美術館ならではの活動も活発です。活気あふれる福岡の中心部にあり、夜8時まで開館。いつもたくさんの人でにぎわっています。作品と街と人のパワーに満ち溢れた美術館です。
ホームページ : http://faam.city.fukuoka.lg.jp/home.html
福岡市博多区下川端町3-1 リバレインセンタービル7・8F 
TEL:092-263-1100  FAX:092-263-1105
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