HOME > Voice & Report TOP > ミュージアムインタビュー TOP > vol.109 金沢市立玉川図書館 近世史料館

収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

史料館は研究にお使いいただくための施設。
史料の情報を公開するのは必須だと思います。
学芸員  宮下和幸 さん
学芸員  宮下和幸 さん
 -まずはシステム導入のきっかけからお話しいただけますか?

宮下さん:私は学生時代から、利用者としてここに来ていたんです。


-へえ、「来館者」さんだったわけですね!

宮下さん:ええ、加賀藩の史料がたくさんありますから、勉強に。でも、当時は紙の目録で、探すのがなかなか大変で。もっと便利に使えたらいいなと感じていました。

-なるほど。システム導入の必要性を、まさにご実感になっていたわけですね。

宮下さん:そうなんです。縁あって赴任したわけですが、働くうちにご利用くださる方々にわかりやすく情報を提供したいという思いが強くなりましてね。

-導入から公開までがとても早かったのは、情報公開が第一目標だったからですね。

宮下さん:そうですね。前任者が頑張ってくださって、館のホームページに史料情報が掲載されていたたことも大きいでしょうね。


-すでにある程度は実現していたわけですね。

宮下さん:当館は図書館の付属施設ですので、いろいろと制限もありますけどね。データは図書館のサーバに置いていただくしかない…とか。

-データ量などで制限が発生しそうですね。

宮下さん:そうなんです。絵図なら画像なんかも載せたかったのですが。

-でも、導入から半年ちょっとで、もう2万点近くも公開されていますよね。すごいことだと思います。





-さて、データを公開されてからの効果はいかがですか?

宮下さん:来館される方が、事前にいろいろと調べてからお越しになるようになりました。画面をプリントアウトしてご持参になる方もいらっしゃいますよ。

-ご質問があった際の対応が、グッと早くなりますよね。

宮下さん:ええ。利用者の皆様も「その史料が館内にある」ことを確認してからお越しになりたいはずですしね。当館は、閲覧・学習していただくことが重要ですから、「有無」についての事前の情報開示は、とても大事なんですよ。職員の意識も高まりますしね。

▲新緑に映える赤煉瓦の建物。
-特に利用度が高い史料などはありますか?

宮下さん:当館には、加越能文庫といって、加賀藩前田家本家(前田育徳会)から戦後に寄贈された藩政史料があります。利用率はこれが一番高いですね。

-所蔵していることが分かれば、安心してご来館になれますよね。

宮下さん:ええ。特に、県外からわざわざ来てくださった方に「ないです」と申し上げるのは、本当に心苦しいですからね。史料データの公開は本当に重要なんです。

-確かに…。ところで、すべての情報を公開できるわけではありませんよね?

宮下さん:ええ、公開していないものもありますよ。公開情報は担当が判断しているのですが、一見すると「この情報も?」というような項目も公開しているんですよ。


-ほう? たとえば、どんな情報ですか?

宮下さん:マイクロ番号や絵図番号といった情報ですね。これは職員向けの情報で、たとえば「これが見たいのですが」とプリントアウトして持ってきてくださった時に、それを見るだけで場所が分かる…といった類のものですね。

-なるほど、それは賢い! 公開以外でお役立ていただいている機能は?

宮下さん: Excelで管理していた貸出情報なども、一元的に管理できるようになりました。まれに他館からの貸出依頼が重なることもありますが、重複して受け付けてしまうこともなくなりましたね。一元管理はミスを減らしてくれると思います。


-実物の管理自体、大変そうですものね。

宮下さん:そうなんですよね。1点ずつ中性紙の袋に入れて、一緒にデータにも登録して、ミスなく出して、ミスなく戻す。一元管理は、こうした繰り返しの作業に役立ちますね。

-間違って戻したら、それこそ見つけ出すのは大変そうですね…。これまでのご苦労が偲ばれます。





▲図書館へと続く道。利用者の往来が絶えません。
-では、システムに関して、逆にご不満な点は?

宮下さん:う~ん、どうでしょう? 今のところ、特に問題はないですね。


-そう仰らず。きっとおありのはずです。

宮下さん:むしろ、私たち自身の課題が気になりますね。まだ公開できていないデータはExcelで管理しているのですが、内部でルールを定めて、それに合わせた形にデータを修正していかなければならないんです。


-ふむふむ。たとえば?

宮下さん:整数で入れるべき項目にハイフンが入っているのを修正したり…。


-それは大変な作業になりそうですね。お手伝いできることがあれば、弊社スタッフにもご相談くださいね。

宮下さん:ありがとうございます。


-ほかには?

宮下さん:あとは、画像の数も増やしていきたいですね。やはり、画像があるとないとではわかりやすさが違いますからね。そうそう、これは結構希望が上がってくるのですが、来館した方にご利用いただける専用端末を置けたらよいですね。

-展示と連携できると、なおよいですね。展示そのものについてはいかがですか?

宮下さん:一般の博物館のように大きな展覧会ではないのですが、年に4回程度、所蔵品の展示を行っています。あとは、数年に一度、他館から史料をお借りして特別展を開催しています。

-今は、加賀藩の「諸頭系譜」を展示中ですね。

宮下さん:現代で言う職員録(役職等の異動帳簿)のようなものですね。


-へぇ~。今の役所や大企業と同じなんですね。出世争いなんかもありそう(笑)。

宮下さん:そうなんです(笑)。役職が上がっていく双六が庶民の間で流行っていたくらいですからね。「隠居」なんて落ちもあって、なかなか面白いですよ。

-サラリーマンの悲哀…ますます現代社会と同じ、ですね。

宮下さん:当時の加賀藩は幕府に次ぐ大組織でしたが、こうした史料を追いかけていくと、いかにしっかりした組織だったかがよくわかるんですよ。

-ほうほう。興味深いですね。

宮下さん:幕末になると、組織が乱れて下克上のようなことが起こった藩もありましたが、加賀藩では有能な人がきちんと登用されて組織が機能していました。秩序が保たれていたんですね。

-それは凄い。経営者や役員は必見ですね。あとで拝見してもよろしいですか?

宮下さん:もちろんです。ぜひどうぞ。

-最近は、古文書に興味を持つ人も増えているのでは?

宮下さん:ええ、実際に増えてきたように思います。当館でも古文書講座を開いたりしているので、いずれはインターネット上でもできるとよいですね。

-将来的には、WEB展覧会などの機能も加える計画があるんですよ。テーマに沿って史料を並べて、スライドショーのような形で解説付きで流すようなものなのですが。

宮下さん:それはいいですね。完成が楽しみです。


-完成したら、ぜひ古文書の面白さを伝えるのにお使いください。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。




<取材年月:2015年5月>

MUSEUM PROFILE

金沢市立玉川図書館 近世史料館
加賀藩前田家と金沢の歩みを伝える史料館。加賀藩の藩政文書である「加越能文庫」を中心に、たくさんの貴重な古文書が保存・活用されています。武家文書や村方文書のほか、西洋兵学や御用大工、医学や農学など、実に幅広い文書を保管し、研究者や一般市民の研究活動に貢献。建物は、100年以上前に建築された「金沢市煙草製造所」の赤レンガ造りです。歴史の街金沢の中でもひときわ美しく、存在感たっぷりのランドマーク。注目の歴史研究スポットです。
ホームページ : http://www.lib.kanazawa.ishikawa.jp/kinsei/kinsei.htm
石川県金沢市玉川町2-20
TEL:076-221-4750  FAX:076-222-6938
資料のご請求はこちらへ。 — 美術館・博物館向け収蔵品管理システムから、実務に役立つ読み物まで。

PAGETOP