HOME > Voice & Report TOP > ミュージアムインタビュー TOP > vol.107 市川市東山魁夷記念館

収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

館の歴史や業務の現状を深く知る上でも
システム導入は本当によい機会となりました。
学芸員 林 奈緒美 さん
学芸員 林 奈緒美 さん

-こちらは、落ち着いた雰囲気の建物が素敵ですね。

林さん:ありがとうございます。東山先生の奥様のご希望で、先生が留学されたドイツの民家をイメージしているんですよ。

-館内もヨーロッパ風の温かみであふれていますよね。林さんは、いつからこちらに?

林さん:3年前に着任しました。学芸業務を担当し始めたのは2年目からなんです。

-ということは、I.B.MUSEUM SaaSの導入直前の頃ですね。

林さん:ええ。ちょうど検討していたところでした。

-以前からお使いになっていたシステムがあったかと思いますが、変更されるきっかけはどんなことだったのでしょう。

林さん:以前のシステムは開館当時に導入したものだったのですが、決まったパソコンでないと使えなくて。パソコン自体が古くなって、必然的にシステムも作り替えることになったんです。

-システムを新調するにあたって、比較検討はされましたか?

林さん:はい。RFI(情報提供依頼書)で各社のシステムを比較しましたよ。I.B.MUSEUM SaaSは、まずコストが安かったですね、まさにケタ違いで。あと、クラウドなのでどの端末でも使えますし、入力フォーマットを簡単に変更できるところなども魅力的でした。

-そう言っていただけると、このサービスを始めて本当に良かったと思います。

林さん:導入した頃は、どこからでもアクセスできることに感動しました。特に、展示を考える時には「本当に便利だなあ」と実感しましたよ。

-すっかり使いこなしてくださっているご様子で、個人的にも嬉しいです。


ドイツ風の情緒あふれる建物

-以前のシステムからの移行作業は、問題ありませんでしたか?

林さん:そうですね。お願いする準備の段階が少し大変でしたけど。

-と仰いますと?

林さん:当館は、東山魁夷の作品だけでなく、人となりも紹介する施設なので、作品以外の資料もたくさんあるんですね。あまりにも幅が広いものですから、分類づくりや項目を考えるのには苦労しました。

-なるほど。作品以外の資料というと、具体的にはどんなものがあるのでしょうか?

林さん:まず、制作関係の遺品、筆や絵の具などですね。それから、生活関連の遺品。こちらは、たとえばメガネとか。

-「記念館」という性格から、一般的な美術館とはデータベースに求めるものも違ってくるわけですね。

林さん:そういうことになりますね。実際、システムの移行は、前のシステムに入っていたデータの分類や項目を考え直すきっかけになりました。

-美術作品の目録なら事例はたくさんありますが、「メガネ」などは分類名、項目名から考えることになりますよね。確かに、大変そうです…。

林さん:でも、I.B.MUSEUM SaaS は項目が自由に動かせるので、試行錯誤する時にはいいですよね。

-なるほど、「試行錯誤」ですか。そういう考え方もありますね(メモ)。

林さん:項目づくりでは、御社の担当の人には結構相談に乗っていただいたんですよ。いろんなタイプのミュージアムのデータを扱っておられますから、心強かったです。

-ありがとうございます。確かに、そのまま流用できる項目体系はなくても、近い事例は経験しているかもしれません。

林さん:暫定的な項目が決まった後は、スムーズに移行できたと思います。

-では、実際に運用されてみての使用感はいかがですか?

林さん:先ほども触れましたが、展覧会を考える時にはとても役に立ちます。ちょうど今、過去の展覧会の情報を「日常業務」の機能を使って登録している最中なんですよ。これが全部登録できたら、もっと便利になるんじゃないかな。

-過去の展覧会も含めて「出品歴」をすべて登録されるんですか! それは素晴らしいですよ。

林さん:「この作品、いつも春になると展示しているな」といったことにも気づけますからね。

-実現したら、まさに理想的な環境になるはずです。

林さん:1〜2か月の会期で、年に6回展示していますからね。工夫しないと、まんべんなくお見せすることができないので。

-展示が偏り過ぎると、保存管理の面でも問題が生じますよね。

林さん:そうなんです。履歴の情報を登録するのは大切なことなんだなあ、と改めて実感しました。

-年6回で開館10年ですから、60回分の情報ですね。過去の展覧会の情報が検索できるようになるということは、林さんのように若い学芸員さんにとっては、先輩方の仕事をご覧になる機会にもなりますよね。

林さん:そうですね。現在開催中の展覧会は「京都」がテーマなのですが、過去に同じテーマで開催した時はどんな作品を展示していたのか、さっと確認できますからね。

-大変ですが、ぜひ頑張ってください。お困りのことが出てきたら、お気軽にお声がけくださいね。


ゆったり過ごせる休憩スペース

-ほかに、お気付きのことはありますか?

林さん:快適に使わせていただいているので、特に気になることはないですね。

-ありがとうございます。でも、ひとつくらいあるのでは?

林さん:そうそう、ひとつありました(笑)。クラウドという仕組み上の問題かもしれないのですが、よろしいですか?

-ぜひ(笑)。

林さん:データの「貯蔵庫」として、いろんなファイルを登録したいなあ、と。たとえば、大きなサイズの画像とか。現代の仮名で書かれていない「お手紙」の読み下し文を作る時のWordファイルとか。

-あ、ちょうど今準備中なんですよ。

林さん:え、そうなんですか。

-はい。確かに、クラウドは容量や通信量の問題があるので、別の「保管場所」を用意して、そこに直接アクセスできるようにする…という機能です。その分の「場所代」は、別にかかってしまうんですけどね。

林さん:便利になりそうですね。完成が楽しみです。

-正式に決まったらお知らせしますね。ところで、インターネットでの情報の公開については、どのようにお考えですか?

林さん:できたらいいなとは思いますが、やはり公開するとなると、データの中身の見直しとか、権利関係のこととか、クリアすべき課題も多くて。

-そこは皆さん苦労されている部分ですね。でも、工夫次第で実現可能になることもありますので、検討される時はぜひご相談くださいね。ほかに、やってみたいことはありますか?

林さん:市川市が所蔵する他の美術作品も登録できるといいなと思っています。展示を考える時の幅がさらに広がりますから。

-素晴らしいですね! ここまでの取り組みを振り返って思うところ、ほかの館の方へのアドバイスなどがあればお願いします。

林さん:システムの移行は、業務を見つめ直すいい機会になりました。一番根本的なところを、深く考えることになりましたから。私は、着任して日が浅かったですから、当館の歴史やいまの状況がよくわかるようになりました。

-過去にどんな展示をされたかという情報を整理するのは、未来につながっていきそうですね。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

<取材年月:2015年2月>

MUSEUM PROFILE

市川市東山魁夷記念館
20世紀を代表する日本画家、東山魁夷。その偉業を顕彰し、作品の魅力を発信する施設として、画伯が生涯の大半を過ごした市川市で2005年に開館しました。作品鑑賞だけでなく、画伯の人となりや生涯に触れることができる貴重な施設。展示を堪能した後は2階の休憩室や1階のカフェでゆっくりと寛ぐこともできます。建物はドイツの民家がモチーフとなっていて、温かみのある雰囲気も魅力。いつも絵画ファンで賑わう人気ミュージアムです。
ホームページ : http://www.city.ichikawa.lg.jp/higashiyama/
〒272-0813 千葉県市川市中山1丁目16番2号
TEL:047-333-2011
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