HOME > Voice & Report TOP > ミュージアムインタビュー TOP > vol.98 野田市郷土博物館・市民会館

収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

利用者の皆さんの使いやすさを追求するには、
まず自分たちが「使いやすい」と思えることが重要です。
学芸員 大貫 洋介 さん
学芸員 大貫 洋介 さん

-建物の雰囲気といい、立派な和風庭園といい、少し独特の趣が漂う博物館ですね。見ていて気分がいいです。

大貫さん:ありがとうございます。当館は昭和34年の設立で、千葉県では最初の登録博物館なんですよ。建物は京都タワーや日本武道館などを手掛けた山田守という建築家が設計したものでして。

-全体的に美しいミュージアムですよね。

大貫さん:手すりや階段に使われている曲線は、山田建築の特徴なんですよ。建物は正倉院をイメージしたものとされています。

-のちほど、じっくり見学させていただきます。これだけの歴史があると、資料台帳の管理も紆余曲折があったのでしょうね。

大貫さん:当館は、平成19年から指定管理者制度を導入しました。その時点では、基本情報のみを目録化した紙台帳に頼っていました。

-半世紀の間には人もずいぶん変わっているでしょうから、書き方の違いなどをまとめるのは大変だったでしょうね。

大貫さん:ええ。当館では、指定管理導入以後、コレクションの再整理の話が持ち上がりました。私は平成22年、紙台帳の電子化作業が一段落したくらいの頃に着任したのですが、「将来的な公開を考えると専用のデータベースが必要だ」ということになって。

-システムの導入準備はお一人で?

大貫さん:そうなんです。本格的な導入作業は昨年から始まったのですが、担当の展覧会準備の時期と重ならないように、集中して取り組みました。

-項目の設定もデータ移行も、独力で進められましたよね。頭が下がる想いです。


風格たっぷりの重厚な門が歴史を感じさせ
ます。

-データ移行はスムーズに行きましたか?

大貫さん:元になるデータ自体はしっかりしていたのですが、移行作業は正直苦戦しましたね。

-単純に流し込めばいいわけではないですからね。

大貫さん:そうなんです。ファイルメーカーからエクセルに出力して、それをI.B.MUSEUM に入れるのですが、文字列だったセルを数値にしなければならなくなったり、その逆もあったり。仮登録画面が真っ赤になりました(笑)。

-I.B.MUSEUM SaaSの一括登録機能では、入力欄のルールと異なるデータを自動的に検知して、ハイライト表示します。それがすごく多かった…ということですね。

大貫さん:ええ、あまりに多くてめげそうになりました。

-もしかしたら、I.B.MUSEUM 側の項目の定義を見直した方が早かったかもしれませんね。もうちょっとフォローが必要かな…(メモ)。

大貫さん:これまでの入力の状況も、入力者によって大文字と小文字が違ったりしましたからね。それを手作業で直していくわけですから、結構大変で。

-新たに食い違ってしまう点もある、と(メモメモ)。

大貫さん:最初にデータのルールを理解して、再集計を想定しておけばよかったんですけどね。

-でも、限られた日程の中でそこまでされるのは難しいでしょう。ここまでご自身でなさること自体が珍しいですから。ということは、今もファイルメーカーと併用されているんですか?

大貫さん:そうなんです。資料の寄贈や購入の調書は、教育委員会へ提出します。その文書作成などもありまして。帳票の出力はファイルメーカーの方がやりやすいですからね。

-なるほど…。

大貫さん:たとえば新たに収集する資料などは、ファイルメーカーで起案文書を出力して、決裁が下りたらエクセルを経由してシステムに登録するという流れです。

-作業工程をもう少し減らしたいですね…。


この門の向こう側には、
旧茂木佐平治邸があります。

大貫さん:そこが悩みの種でして。

-システム側の受入管理機能で決裁文書の対象資料を登録してみてはどうでしょう?

大貫さん:と言いますと?

-システムからエクセルで出力して、マクロかワードの差し込み印刷機能を使って決裁文書を作るんです。この方法なら、エクセルで出力してシステムに一括登録するという工程はなくなりますよ。

大貫さん:なるほど! それならできそうですね。

-きっとほかにも解決法があると思います。業務フローをお聞きして、弊社のスタッフと一緒に考えてみますね。

大貫さん:システムが絡む業務フローが煩雑になりすぎると、効率が悪いと思うんです。シンプルな形で業務に組み込んでおかないと、データも蓄積されにくいですしね。

-そこが肝なんですよね。あと、収蔵庫からもシステムにアクセスできる環境だとお聞きしていますが、その点は?

大貫さん:収蔵庫と学芸員室の行き来はすごく減りました。収蔵庫内から直接データを更新できると、やっぱり便利ですね。

-収蔵庫ではタブレットをお使いなんですか?

大貫さん:閲覧を除けば、まだPCが主体です。タブレットだと、どうしても「押し間違い」が多くて。スクロールに時間がかかることも原因かな?

-システム側でもインターフェイスの改良が必要かな…(メモ)。ほかに気になることはございませんか?

大貫さん:そうですね…。日常業務ではまだ使いこなせていないのですが、貸出先をリスト化する時、貸し出した資料も一緒にリスト化できると、年度ごとの取りまとめの時に便利かもしれませんね。

-なるほど! 「後工程でどう使うか」を機能側がケアするのは重要ですね。参考になります。


館内は吹き抜けを囲むように展示が
並ぶ、瀟洒な空間です。

-短期間でかなり使いこなしておられますが、今後の展望?

大貫さん:まずはデータの充実ですね。特に、職員が端末や媒体に保存している画像などをまとめ、システムに登録していきたいです。

-データ公開も目指していらっしゃいますよね。

大貫さん:もちろんです。件数が多いので、年度ごとに部分的に公開していきたいと思っていますよ。

-楽しみですね。ご準備も大変では?

大貫さん:そうですね。過去の展覧会で作成した解説などのデータを有効活用して、できるだけ効率的に進めますよ。それに、データづくりの段階で工夫もしましたし。

-ほう? 工夫とは?

大貫さん:たとえば、野田と言えば醤油の産地です。一般の方が資料を検索する際、醤油に関する古文書とか、工場の職人さんの服などを探したいとしたら、「古文書」や「衣服」から探すのは難しいですよね。

-そうでしょうね。

大貫さん:そこで、「醤油関係資料」というチェック項目を作って、分野をまたいで取り出せるようにはしてあるんです。

-なるほど。その項目を公開項目にしたら、よいコンテンツになりそうですね。いま、弊社では検索を助けるカバーページなどにアイデアがありますので、ぜひ提案させてください。

大貫さん:ぜひお願いします。私たちも、利用者の皆さんの目線で公開したいですからね。自分たちが使いにくかったら、皆さんにとっても使いにくいはずなので、よりよい形を追求したいです。

 

-仰る通りです。弊社にも共通する課題ですので、ご一緒に考えていきましょう。本日はご多忙の中、本当にありがとうございました。

<取材年月:2014年6月>

MUSEUM PROFILE

野田市郷土博物館・市民会館
50年以上の歴史を有する千葉県内最古の登録博物館。全国でも貴重な醤油関係資料をはじめとする地域の歴史や民俗、美術、自然に関する資料を展示しています。特別展・企画展、学校との連携、体験教室、市民参加型企画展、自主研究グループの育成、寺子屋講座、キャリアデザイン連続講座、ミュージアム・コンサート、茶道講座など、活動は極めて多彩。併設する市民会館の趣のある庭を眺めてゆっくり過ごすこともできる、地域住民の宝物のような博物館です。
ホームページ : http://noda-muse.or.jp/
〒278-0037 千葉県野田市野田370-8
TEL:04-7124-6851
資料のご請求はこちらへ。 — 美術館・博物館向け収蔵品管理システムから、実務に役立つ読み物まで。

PAGETOP