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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

サーバを持たず、いますぐ使えるクラウドシステムは
今までよりも説得しやすいと思いますよ。
学芸員 山田真規子さん
学芸員 山田真規子さん

-先日、ホームページのリニューアルと作品データベースを公開されましたね。

山田さん:お陰様で、何とかこぎ着けました。

-システム導入から1年足らずであれだけのデータを公開されるというのは、非常に珍しいんですよ。

山田さん:そうなんですか。それは嬉しいですね。

-というわけで、その秘訣をぜひお伺いしたいと思いまして。まず、導入前の状況からお聞かせください。

山田さん:当館は昨年、開館30周年を迎えました。30年前の紙台帳がまずあって、それをもとにMicrosoft Accessで基本情報のデータベースを作っていました。でも、OSが変わった時の対応も大変ですし、だんだん動きも重たくなって、持て余してしまったというのが正直なところでしてね。

-それで専用システムが必要になった、と。導入にあたってスムーズにコンセンサスは得られましたか?

山田さん:簡単ではありませんでしたよ。もともと紙の台帳だったということは紙とはいえ既にデータベースはあるという意味でもありますからね。

-どのように説明されたのですか?

山田さん:ひとつは、今回のシステムがクラウドだったという点ですね。全庁的に「サーバを持たないようにしよう」という流れがあったので、話はしやすかったですね。それに、何と言っても費用が安く済みますし。

-なるほど。時代の要請といったところでしょうか。

山田さん:もうひとつは、情報公開の重要性をしっかりご説明したことですね。作品データベースのインターネットでの公開を目的の柱に据え、当たり前のことですがこれは市民に非常にメリットがある、ということを強調したんです。

-ほう? 具体的には?

山田さん:導入で業務効率は上がりますが、市民に直接的なメリットはありませんよね。でもすぐ構築できるこのシステムならば市民に情報を提供でき、サービス向上になる点も響いたのだと思います。

-なるほど。準備期間の短さもポイントなんですね。

山田さん:利用者の皆さんも、館に直接問い合わせるより、ネットで調べる時代になっていますよね。作品情報を公開する意義はどんどん大きくなっていると思います。

-利用者側でもニーズがあるのですから、今後はさらに加速しそうですよね。


レンガ造りの建物とガス灯。
歴史の重みを感じます。

-弊社の担当から報告を聞いた時、みんなびっくりしました。「つい先日、ご契約いただいたばかり」という認識でしたから。

山田さん:そんなに珍しいんですか?

-ええ、公開できるシステムを導入しても、情報を登録すること自体が大変な作業ですから。作品情報を登録できたとしても、そのまま公開情報にしていいのか、という見直しが発生したり。

山田さん:なるほど、確かにそうですね。

-「口で言うほど簡単ではないよ」と、あちこちの館でお聞きするんです。それがこれほど早く実現したのは、やはりAccessのデータがあったからということでしょうか?

山田さん:印刷原稿のおかげでしょうね。もともと館蔵品目録などの紙の印刷物があって、その原稿が登録データの基礎となっていまして。つまり、印刷入稿の時点で校正済みということですから、情報の信頼性は高かったんです。

-なるほど! そうか、印刷物の入稿データなら、確かにチェック済みですよね。

山田さん:それでも、データを整える作業は必要でしたけどね。書いた人のクセや時期によって表記がブレることもよくありますし。

-ほかに問題はありませんでしたか? 著作権とか。

山田さん:もちろんありました。やむを得ず、画像よりも作家名や作品名などのテキスト情報の開示が先決と判断しましたけど。

-近・現代の作品が多いと、そこは苦労されますよね。

山田さん:でも、現在ご活躍中の作家の方々の中には、「ネットで作品の画像を公開すれば広報になる」とお考えいただける方も増えてきたんですよ。これからは提供者側の意識も変わってくるかもしれませんね。

-逆に、システムまわりでの課題はありますか?

山田さん:登録と公開以外の機能はまだ使いこなしているとは言えないので、そのあたりかな?

-展示や貸出情報、名簿情報のあたりでしょうか。しっかりサポートさせていただきますね。改善を求めたい部分などは?

山田さん:ひとつあったのですが、当館が公開する前に改善されちゃったんですよ(笑)。

-それはよかった!(笑) どの機能でしょう?

山田さん:公開ページ内で、作家から検索できる機能ですね。美術館に来てくださる人は、やはりまず作家から見ることが多いと思うんです。

-ですよね。弊社もそう思いました。

山田さん:それに、ほかの館の公開ページで作品を探すことがあるのですが、どんな作品をお持ちになっているかが把握できていない場合、検索するでしょう? その時、どんなキーワードを入れたらいいのか、困ってしまいましてね。

-プロの学芸員の方でもお困りなのですか。もっと早く実現すべきでしたね。ほかには?

山田さん:ホームページに展覧会の情報を掲載した時に、データベースの該当の作品のページへのリンクなどを用意できるといいですね。

-確かに(メモ)。そのあたりは、改めて提案させていただきますね。


彫刻が並び、広々とした前庭。

-では、今後の展望などをお聞かせください。

山田さん:作品情報が充実した後は、このシステムを使って、さらにアーカイブを続けたいですね。たとえば、展覧会のポスターの画像データにしても、当館には30年分のストックがありますので。

-ポスター自体が資料価値を持っているわけですね! クラウドのもうひとつのメリットは「常に機能を改善できること」ですから、ポスターとか動画などの蓄積もできるようになるかもしれません。

山田さん:改善と言えば、データを修正する際に、新しい情報を上書きするのではなく、二重線を引いて書き足す…と言うか、アナログのいい面も採り入れてはいかがでしょう?

-面白いですね! アイデアをありがとうございます。では最後に、これからシステムを導入される方に、アドバイスがあればお願いします。

山田さん:私たちは、システムからExcelのリストを出したり、逆に取り込んだりすることが多いのですが、こうした汎用的なソフトと相性が良い点は、隠れた魅力だと思いますよ。「誰でも使える」という点は、今後のシステムづくりでの大きなポイントになる気がしますので、ぜひご参考に。

-今日は参考になる話がいっぱいでした。お忙しい中、ありがとうございました。

<取材年月:2014年4月>

MUSEUM PROFILE

姫路市立美術館
姫路城の東隣にひときわ映える、赤レンガ造りの美術館。姫路の文化の高揚と郷土作家の育成を目指し、昭和58年に開館しました。日本画、油彩、水彩・素描、版画、彫刻、工芸など多彩なジャンルの作品を所蔵。郷土出身の作家、郷土の風物を描いた作品に加え、国内外の近現代美術、特にベルギー美術のコレクションや、ロダン、ブールデルの作品など、世界的な名画もあります。明治時代に建築された建物も風格たっぷりで、地元はもちろん観光客にも人気の高い美術館です。
ホームページ : http://www.city.himeji.lg.jp/art/
〒670-0012 姫路市本町68-25
TEL:079-222-2288
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