HOME > Voice & Report TOP > ミュージアムインタビュー TOP > vol.84 浜松市楽器博物館

収蔵品管理システム I.B.MUSEUM 導入ミュージアムインタビュー

ミュージアム名

博物館の資料情報は、館同士で、そして未来へと
「つなげていくこと」が大切だと思います。
学芸員(事業グループ長) 梅田 徹 さん
学芸員(事業グループ長) 梅田 徹 さん

-梅田さんはI.B.MUSEUM SasaS をいち早く使いこなしていらっしゃいますね。最初のシステムのご導入はいつごろだったのですか?

梅田さん:2000年ごろ、インターネット博覧会で市のホームページにデータベースを公開しました。浜松は「楽器のまち」ですし、当館の資料はきっと注目いただけるだろうということで。あれがシステム化の第一歩でしたね。

-かなり早い時期ですね。その後は?

梅田さん:市のシステム切替で運用不能になってからは、自分でファイルメーカーを使って管理していましたよ。

-ということは、I.B.MUSEUM SaaS の導入は、ファイルメーカーからの切替ということになりますね。何かきっかけがあったのですか?

梅田さん:最初のシステムは、今で言う公開専用のシステムだったので、当時から「業務で使えるデータベースが欲しいな」と思ってはいたんですよ。それに、情報共有の必要性を痛感することになりましてね。

-ほう? それはどんなことですか?

梅田さん:私は、もともと当館のアルバイトスタッフでした。その後、非常勤で5年、正職員となって5年経ちますが、その間に先輩学芸員がどんどんいなくなりまして…。最後は、私一人になったんです。

-それは大変ですね…。

梅田さん:ですから、ちょうどその頃、旭川で開かれた博物館大会で早稲田さんの発表を聞いて、とても共感したんですよ(笑)。

-あの時は「学芸員オンライン」の説明と、博物館クラウドの構想をお話ししましたね。どの点に共感いただけたのですか?

梅田さん:自分がこれまで得た知識をうまく次の人に引き継げるような環境が欲しかったのですが、ファイルメーカーでは知識が必要ですし、情報発信も難しいですし。情報の共有って大切だなあ、と。

-ふむふむ。

梅田さん:学芸員同士で、今の学芸員と未来の学芸員の間で、それに館と来館者の皆様の関係もそうですが、これからもっとつながっていかないと…。早稲田さんのコンセプトも、まさにそんな感じですもんね。

-仰る通りです。しっかり受け止めてくださると、本当に嬉しいですね。


博物館は、イベントホールやショッピング街を備えた大型施設にあります。博物館は、イベントホールや
ショッピング街を備えた
大型施設にあります。

-「導入したい」と考えても、予算の壁がありますよね。ご苦労されたのでは?

梅田さん:当館の館長が、学芸員出身でして、私の考えをご理解くださったんですよ。あとは予算をやりくりして捻出しました。

-身を削って費用を作ってくださったのですね。

梅田さん:でも、昔のように数百万円のシステム投資だったら、導入できなかったでしょうね。月3万円だからこそ実現したことで。

-恐れ入ります。

梅田さん:今では、 I.B.MUSEUM SaaS は私にとって「もう一人の学芸員」みたいなものですから、この値段で「雇える」なら安いと思いますよ。

-ほう? もう一人の学芸員、ですか。

梅田さん:隣に学芸員がいれば質問もできますが、当館は学芸員が私一人ですからね。私にとって、システムは「訊ねる相手」なんです。

-なるほど!

梅田さん:ですから、早稲田さんが「事業の都合でこのサービスを辞めました」なんてことになると、学芸員が一人減るわけです(笑)。ずっと続けてくださいね。

-もちろん、よほど環境が変化しない限り、この事業をずっと続けるつもりですよ! そんな風に仰っていただけると、開発者たちもきっと喜びます…。

梅田さん:でも、本当に助かっているんですよ。営業の方がお越しになった時、機能について相談するでしょう? すると、「できません」ではなくて、「今はできないけど、いずれ可能になると思います」と仰ってくださって。

-まあ、本当に不可能でない限りは、そうですね。

梅田さん:それが、その場凌ぎの言葉ではなくて、本当に実現しておられますよね。「もっと改善しよう」という思いは、すごく伝わってきます。

-ありがとうございます。でも、まだまだ足りない点がありますから。

梅田さん:欲を言えば、特に新しい機能について、定期的に講習会を開いてもらえると助かります。サイトにアップされている動画なども一通り見ているのですが、やはり直接教わるのが一番ですし。

-申し訳ありません、それこそまさに「行き届いていない点」の筆頭なんです。「全館サポート直接訪問」は目指してはいるのですが…。

梅田さん:いくつかの館で合同で行うのはいかがです? まったく異なる分野の館がどう使っているのかも、ぜひ知りたいですし。

-なるほど。講習の場に加えて、交流の場にもなりそうですね。

梅田さん:たとえば古いオルガンなどは楽器は民具という側面がありますから、実は各地の博物館が所蔵していたりするんです。実際、当館がお受けできない寄贈のお申し出を、別の博物館で受け入れられたケースもありますし。

-楽器だから楽器博物館、とは限らないわけですね。

梅田さん:ええ。その時代の地域の生活を示すものなら、分野で考えるより地域性が重要になることもありますからね。全国の博物館がI.B.MUSEUM SaaSのユーザだったら、情報の交流も簡単だろうなと思うんです。

-まさに、弊社でも構想していることなんですよ! いずれ、ぜひ議論させていただきたいですね。


ガラス張りの開放的な建物が目印です。ガラス張りの開放的な建物が目印です。

-これからのシステム活用のご構想は?

梅田さん:まず重要なのは、情報の蓄積という作業は、「自分の世代で完了するのは、ほぼ無理だ」という現実です。次の世代へ、さらにその次の世代へつないで、完成を目指すものだと思います。特に当館は、東海大地震が心配される場所にありますし、どれだけ充実した情報を残せるのかという観点で考えたいですね。

-息の長い話ですよね。

梅田さん:博物館の資料情報は、学術的な専門書などとは少し違いますしね。

-ほう? どういうことでしょう?

梅田さん:以前、足踏みオルガンの寄贈を受けたのですが、寄贈者の方の曾祖父様が戦時中に東京から避難してくる際、大八車に乗せて大切に運んでこられたものでして…。そんな話も含めてデータベースに蓄積して、来館者の皆様にお話ししたいですからね。

-資料には、血の通った情報が付き物ですよね。

梅田さん:そうした情報が蓄積するのと同時に、I.B.MUSEUM SaaSのユーザ館同士での情報共有、情報交換ができるといいなと思っています。ログイン画面で、他館に知らせたい資料情報をエピソード付きで公開するコーナーとか。イベントや企画展のヒントになるんじゃないかな。

-それは素晴らしい、ぜひ検討してみたいと思います。「もう一人の学芸員」として、しっかり育てていきます。本日はお忙しいところありがとうございました。

<取材年月:2012年12月>

MUSEUM PROFILE

浜松市楽器博物館
1995年に開館した日本で初めての公立楽器博物館。世界各地の伝統楽器など、世界の楽器1300点が地域別、テーマ別に展示されています。体験ルームでは、アフリカの太鼓、インドネシアの竹ベルなど手作りの楽器や音の出るおもちゃが数多く展示されていて、自由に演奏することができます。レクチャーコンサート、講座、ワークショップなども人気で、「楽器のまち」浜松のシンボルとして、いつも賑わいを見せる人気の博物館です。
ホームページ : http://www.gakkihaku.jp/
〒430-7790 静岡県浜松市中区中央3-9-1
TEL:053-451-1128
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