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収蔵品管理システム I.B.MUSEUM SaaS ビジョン

ネット社会に置いていかれる博物館。
誰かが何とかしなければ。

すっかり定着したIT社会・ネット社会の中で、
博物館は、実は最も整備が遅れた業界と言わざるを得ません。
博物館クラウド「I.B.MUSEUM SaaS」は、 この現状を打破するために開発したシステムです。

なぜ「クラウド」が必要なのか、 今後は何を目指すべきなのか。
以下、博物館と情報管理に対する弊社なりの考えをお伝えいたします。

詳しい話はこちら

博物館クラウドの出発点

2005年、弊社製品のユーザ様である全国の博物館の訪問を始めました。システムがどのように使われているのかをより深く知るためのヒアリングが中心ですが、ある館でお聞きした話を別の館でお話しすると、「その手があったか」という反応が返ってくるというケースが何度か続きました。

多数の館を巡回しているうちに、一見は「横のつながり」がありそうな博物館業界も、データづくりやIT活用については知識やノウハウを共有する環境がないことを痛感しました。そこで、各館で伺ったお話をインタビュー形式にまとめてWEB上で公開しようと思い立ちました。それが、今でも弊社ホームページでご覧いただける「ミュージアムインタビュー」です。

どこを訪ねても、「予算が足りない」「人が足りない」とお声を必ず耳にします。事業そのものの維持も難しいのではないかと思われるような常軌を逸した予算カットに、長年積み重ねてきたノウハウが断絶するような配慮のない人員削減。加えて、多くが公立であるがゆえに、公共施設としての情報開示を求められる博物館。「こんな状態では、IT化なんて無理だ」「デジタル時代に完全に乗り遅れてしまう」…。
100近い館を巡回する中では、こうした博物館の実像、業界全体に横たわる深刻な問題をつくづく思い知らされました。

当時のエピソード

博物館の現実と無力感

とは言え、ネット社会、情報開示社会という潮流は、避けようがありません。システム開発会社という立場から離れても、収蔵品の管理に携わる博物館にとっては、データベースシステムは必需品であるはず。しかし、日本の博物館が抱える現実は、あまりに厳しいものでした。

そもそも人員が減るばかりの現状では、学芸現場でデジタルデータを作成・管理するという労力を割くことからして難題。さらに、同じ公共施設でも図書館とは異なり「1点もの」を扱う博物館では、「汎用性のあるデータベースを使う」ことも困難です。それ以前に、ほとんどの館はとにかく「予算削減」という強烈な向かい風にさらされており、何年待っても改善する気配は感じられません。これでは、数百万円単位の費用負担が発生しがちなデータベースシステムなど、導入できるわけがありません。

こうした問題に対し、私たち業者を含めて誰一人として解決策が見いだせないまま、年月だけが過ぎ去っていきました。新規開館などの特殊なタイミングを除けば、予算と人員の確保という壁の前で、ただ立ちすくむしかない。それが、私が見た日本の博物館の姿でした。

自治体をはじめ各方面への談判を繰り返しても、むなしく跳ね返されるだけ。自分自身の無力感に歯ぎしりしている一方で、一部の先進館などでは資料情報共有のためのデータ・フォーマットが議論され、MLA連携という言葉も生まれていました。

さまざまな情報発信法を考案・実現する先進館のプロジェクトに呼応し、弊社を含めた各業者も、新しい試みを提案します。それは、「予算と人員」という巨大な壁に苦しむ多くの館とは対照的な光景で、業界内での乖離、格差は開く一方に見えました。

その中で、打ちのめされたのが、あるアンケート調査の結果でした。「デジタルアーカイブにおける障害」は予算と人員であると結論づけているのですが、実は、その10年ほど前にも同じ調査を実施しており、答えは同じ「予算と人員」だったのです。つまり、10年間、一歩も前に進んでいない!
このままでは何も動かない、誰かが打開しなければならない。学芸現場をまわるほど、その思いは強くなる一方でした。

可能性としてのクラウドコンピューティング

手詰まり感に覆われる中、ひとつの可能性が唐突に目の前に現れました。それは、発展著しいインターネットの通信環境を介した「共同利用」の仕組み、いわゆるクラウドコンピューティングです。

この技術を使えば、従来の高額な個別開発費用を捻出する必要がなくなる。各館が共同で利用すれば、初期投資はゼロ、ランニングコストも「割り勘」で抑えることができる。これはひとつの光明だと思いました。

ところが、話はそう簡単ではありません。最大の問題は、博物館という性質上、「共同利用」が成立しないのです。

たとえば、美術館で使っているシステムを考古博物館が使おうとすると、そもそも登録するデータの性質からして異なります。各館が汎用的に使えるシステムがないからこそ、個別のニーズに合わせた開発が必要となってきたのですから、仕様が固定されたシステムを差し出して「これで仕事をしてください」とお願いしても、受け入れられるはずがありません。

実現は絶望的と思われましたが、ここで長年この仕事に特化することで蓄積した知識とノウハウが活きることになりました。弊社の社内には、日本中のあらゆる館のシステムの仕様書が残っています。これを丁寧に読み込むことで、これまで分野ごとに必要とされてきたデータ項目や業務フローについて、ある程度まで体系化することができたのです。

分野による違いは、学術的な理論と学芸現場の現実をすり合わせれば、ある程度まで統合できるのではないかという感触を得ることができました。あとは、各館独自の文化の違いによる細かい差異の部分を解決できれば、「割り勘」システムの実現は可能なのではないか。私たちがプロジェクトを本格化させたのは、2008年秋のことでした。

博物館クラウドの現在地

私たちは、最後の課題の解決の目処が立った2010年の末、[I.B.MUSEUM SaaS]を発表しました。翌年、使う人が自分で細かくアレンジできる機能を実装し、ついに「割り勘システム」が実現します。さらに、博物館の長年の課題のひとつである「情報公開」を解決するインターネットでの資料検索機能を追加し、細かなバージョンアップを重ねながら今日に至っています。

「予算と人員」という2つの壁のうち、予算については「数百万円以上の投資を月額3万円の利用料に抑える」ことで、解決に向けて大きく前進したという自負はあります。しかし、まだ「どの館も楽に乗り越えられる壁」とは言い難いものがあります(これさえも許されないケースがあるほど、予算の壁は高く厚いのです)。しかし、「割り勘」という理論上、利用者が一定以上まで増えれば、1館の費用負担をさらに下げることも不可能ではありません。現在の利用館の増加スピードを考えれば、そう遠くない将来、「どの館も楽に乗り越えられる高さ」にできるのではないかという感触もあります。

もうひとつ、人員の壁についても、ひとつの道が見えます。私たちが人を雇って派遣することはできませんが、「学芸員の仕事を減らして余力を捻出する」環境を作ることはできます。

膨大な学芸業務の中で、同じ仕事を繰り返す部分を、システムで自動化する。利用者の仕事の流れを丁寧に分析し、肉声に耳を傾けながら、システムによってショートカットできるところを見つけ出し、機能として実装する。これを重ねることで、館のIT化、情報公開のための準備業務が可能となるだけの「時間と余力を作り出す」ことは可能と考えているのです。

実際に、[I.B.MUSEUM SaaS]では、リリース後2年ほどで20回を超えるバージョンアップを実施しました。少しずつではありますが、「学芸員の仕事を減らす道具」に近づいていると思います。
とは言え、「人員の壁を下げる」という目標はあまりに高く、現段階ではまだまだですが、今後も全社一丸となった不断の努力で立ち向かう所存です。

博物館クラウドの未来像

[I.B.MUSEUM SaaS]の機能を企画していたころ、何人かの学芸員にヒアリングを行いました。その中で印象的だったのは、「システムの機能より、仕事のノウハウが欲しい」という声でした。これは、ある館の若手学芸員の言葉で、その方は「館で唯一の学芸員」というお立場でした。

現在、[I.B.MUSEUM SaaS]は収蔵品のデータベースを中心とする業務システムという位置づけにありますが、割り勘システムですから、ユーザ館が登録した全情報が1か所に集約されているわけです。これは、クラウド型システムならではの特性です。

この性質を活用すれば、複数の館同士が手を携えて発展するための事例やノウハウを集積する場とすることも可能です。もちろん、学芸員個人に帰属する職人芸としてのノウハウは継承していくべきですが、先の「人員の壁」によって、世代間のバトンの受け渡しがうまくいっていない館も多数存在します。そこで、館内用の業務情報、外部向けの公開情報に加えて、業界内向けの共有情報も蓄積することはできないかと考えているのです。

各館で共有できるであろう情報は、たくさんあります。ワークシートやアートカードのフォーマット、ホームページの構築法、解説情報の活用法。ご利用いただく学芸員同士が、館の垣根を越えてシステム上でコミュニケーションできる仕組みを作れば、資料の貸し借りや共同研究という環境を整備することも可能となります。

同じ我が国の公共施設であり、「国民の財産を預かる立場」が共通する博物館は、本来、情報やノウハウを共有しているべきとも言えます。クラウドコンピューティングの発展は、現在では考えられないような環境を創造することも可能です。地理的な垣根、行政的な垣根、資料分野の垣根を越えて。博物館と博物館、学芸員と学芸員がつながって、手を携えて発展していく。そんな姿も夢ではないのです。

博物館クラウド[I.B.MUSEUM SaaS]は、そのプラットフォームとなることを展望しています。ぜひ皆様のご理解とご支援をお願いいたしたく存じます。

 

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